心情の表し方が巧みなので二人の苦しさに共感しやすいし、他の人たちもいろいろ悩んだのだなと、それなりに酌んで考えられる部分はあるのだが、ストーリーには何となくの「事件」詰め込み感残る。
クライマックスが、事件それ自体、ガチの和解要素持っ
てるわりには、誤魔化されたような雨降って地固まる唐突な雰囲気。
全てゼロクリアになって始めるのは確かにストーリーの中での登場人物たちの過去の行き違いややり過ぎの清算にはいいけれど、読み手の方は食い散らかしのまま。片付けが終わったという気がしづらい。
そもそも、メイン二人にやり直し前のけじめが足りない気がしてくる。
タイトルの意味深ぶりは読み手のワクワク感をそそるのに、中身は、ベクトル違いのもの。
この家族それぞれの思惑と、細工が、若い二人を悲劇に巻き込んだ、そこに母からの愛が感じられないところ、もっと母絡みのストーリーがないとマリウスサイドのモヤモヤを読み手のこちらは抱かされてしまう。
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