高畑勲監督作「火垂るの墓」を特集した番組「火垂るの墓と高畑勲と7冊のノート」が、明日8月2日23時からNHK Eテレで放送される。
1988年に公開された「火垂るの墓」は野坂昭如の原作小説をもとに、空襲で母を亡くした14歳の少年・清太が4歳の妹・節子とともに生きる姿を描いたアニメーション映画。2018年に亡くなった高畑監督の自宅からは、没後に「火垂るの墓」の創作過程が記された7冊のノートが発見された。そのノートからは、高畑監督が自身の空襲体験をもとに原作を忠実に再現しようとする一方で、「F清太」という原作にはない存在をあえて作り出していたことが明らかになった。生前、「これは反戦映画ではない」と語っていた高畑監督は「火垂るの墓」で何を伝えようとしていたのか。高畑監督が「火垂るの墓」に込めた思いに、発見された7冊のノートと関係者の証言で迫っていく。なお番組は8月6日24時から同じくEテレで再放送も予定されている。
番組を担当した寺越陽子ディレクターからはコメントも到着。高畑監督が亡くなるまで、取材を通して多くのことを学んだという寺越ディレクターは「作品への熱いまなざし、心に響く言葉など教わったことは数えきれませんが、『火垂るの墓』についてはほとんど何も、高畑さんから聞くことはありませんでした」としたうえで、「戦後80年を迎えたいまもなお、戦争がなくならない世界。改めて高畑さんが『火垂るの墓』という映画にどんな思いを込めていたのか、わたし自身が知りたいと思い、取材を続けました。創作ノートから見えてきたのは、いまの時代のわたしたちへのメッセージだと思っています」と思いを伝えている。
寺越陽子(ディレクター)コメント
2011年、遺作となった「かぐや姫の物語」を制作する高畑勲さんを取材しました。以降、2018年に高畑さんが亡くなるまで、ときには叱られましたが、ありがたいことに大変親しくしていただきました。作品への熱いまなざし、心に響く言葉など教わったことは数えきれませんが、「火垂るの墓」についてはほとんど何も、高畑さんから聞くことはありませんでした。戦後80年を迎えたいまもなお、戦争がなくならない世界。改めて高畑さんが「火垂るの墓」という映画にどんな思いを込めていたのか、わたし自身が知りたいと思い、取材を続けました。創作ノートから見えてきたのは、いまの時代のわたしたちへのメッセージだと思っています。
ETV特集「火垂るの墓と高畑勲と7冊のノート」
NHK Eテレ:2025年8月2日(土)23:00~23:59
(コミックナタリー)