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Netflix×日本アニメの10年間と今後のチャレンジ「ハリウッド映画に並ぶ地位に」

2025/9/5 12:39

Netflixのサービス開始10周年を記念したトークパネル「Creators' Spotlight」が昨日9月4日に東京都内で行われた。トークパネルはこれまでNetflix作品に携わった実写作品のクリエイター、アニメ作品のクリエイターが参加し、アニメ作品のパートでMAPPAの代表取締役社長・大塚学氏、トムス・エンタテイメント取締役の吉川広太郎氏、「My Melody & Kuromi」の見里朝希監督、同作の脚本を手がけた根本宗子が登壇した。

Netflixだからこそできるクリエイティブを

トークパネルのテーマは「Netflixと歩んだブレイクスルー、そして次なる挑戦へ」。MAPPAの社長に就任して9年目という大塚氏は、この10年の変化として「(Netflixのような)プラットフォームでアニメを全世界で楽しむ人たちの存在を、作り手が意識して感じられるようになった」と挙げる。またコロナ禍の影響も大きく、「制作環境としては働き方の選択肢が増え、お客さんにとってもスマートフォンでアニメを楽しむ習慣がより強く根付いた」と振り返った。Netflixを活かした作品づくりについては「まだこれから」と課題感を示し、「Netflixのビジネスを土台にしてどういうクリエイティブを届けていくのがベストなのか、Netflixでいろんな映像体験をしているお客さんの虚をつくような作品を、どう作っていくか。オリジナルストーリーで、日本のアニメがNetflixのお客さんに対してどういうものを供給できるのかというところにもっと挑戦していきたい」と、表現の幅や作品のテーマ性を広げていきたいと語った。

日本アニメの地位をハリウッドに追いつくレベルへ

トムス・エンタテイメントの吉川氏は2016年に同社へ入社し、「バキ」「SAKAMOTO DAYS」などのNetflix配信に深く関わった人物。「『バキ』はアメリカでローカライズされたコミックがなかった状態で、Netflixさんが190カ国に配信してくれて伸ばしてくれた、思い出深い作品」と振り返る。Netflixの魅力として3億人を超えるユーザーがいることはもちろん、「クリエイターをすごくリスペクトしてくれている」と強調。以前は洋画業界に身を置いていた吉川氏は「Netflixのおかげで、すごく日本アニメの地位が向上できているという実感がある。Netflixとよりアニメを盛り上げて、ハリウッド映画の地位に追いつきたい」と今後のチャレンジについて語った。

「My Melody & Kuromi」は「広げた風呂敷ほぼそのまんま」

7月に配信がスタートし、週間グローバルTOP10に2週間連続でランクインするなど反響を呼んでいる「My Melody & Kuromi」。見里監督は「ストップモーションは長い制作期間が必要で、スタッフの皆さんにもすごくがんばっていただいたので、その努力が報われた気持ち」と喜び、劇作家・演出家である根本は「演劇活動ではなかなか反響を聞かない世代の方からも、面白かったという声をたくさんいただいたり、海外の方からDMをいただいたり」と、Netflixだからこその反響があったと語る。

制作を振り返って根本は「風呂敷を広げるだけ広げてみて、普通はそれが縮小していくんですが、今回は広げた風呂敷のほぼそのまんま完成している。Netflixさんの懐の広さ、なんでも面白がってくれる心意気にすごく助けられた」「自分が最初に脚本を書き始めたころのワクワクを思い出しながら書けた」と、自由度の高い脚本を書けたことにNetflixへ感謝を伝えた。見里監督も「今作はストップモーションの限界に挑んだ作品」と、この規模感の大きさはNetflixだからこそだと述べる。「ストップモーションは職人的でマニアックなもの、スタジオも少なかったりするので、Netflixが積極的に挑戦していてすごく感謝しています。この波に乗って日本のストップモーションをより世界に広げていけたら」と意気込んだ。

Netflixシリーズ「国民クイズ」の話題も

実写作品パートでは、Netflixシリーズ「国民クイズ」主演の山田孝之が登壇。同作はすでに撮影を終えているそうで、脚本にも深く関わった山田は「見た目の技術だけじゃなくてマンガだから成立している、実写に落とし込むとまったく成立しないことっていうのはやっぱりある。実写でやるんだったら実写にしかできない部分を足していくことが必要だから、どこをリアルにして、どこをちょっとぶっ飛んだマンガの世界観を使うのか、というのは今回特に難しかった」と明かす。さらに「なぜこの人はこういう行動を起こしているのか、というのを深く掘り下げて、人間味を出していくっていうことをやっていくと、役がめっちゃ難しくなっていく」話し、「参加した人たちの次も含めて楽しみ」と、役者にとっても挑戦となる作品であることを示唆した。

なお「Creators' Spotlight」冒頭ではNetflix共同最高経営責任者グレッグ・ピーターズ氏と、Netflixコンテンツ部門バイスプレジデント坂本和隆氏が挨拶。そのコメントは以下に記載している。

グレッグ・ピーターズ(Netflix共同最高経営責任者)コメント

アジアで初めてNetflixを立ち上げることになった2015年、その拠点としてまず日本にオフィスを開設しました。それから10年。日本国内の登録世帯数は1000万世帯を超え、「ネトフリ」と親しみを込めて呼んでいただける存在になりました。日本発の作品は、これまでに累計約250億時間視聴され、非英語作品としては世界で2番目に多く見られています。120作品以上の日本作品が、非英語作品のグローバルTOP10入りを果たし、さらに各国別のTOP10でも、アジアからラテンアメリカに至るまで、93カ国でTOP10入りを果たしています。日本国内においては、これまでに37都道府県、200以上のロケ地で撮影を行うなど、2021年から2024年の4年間で日本への投資による経済波及効果(Gross Value Added / GVA)は4500億円を超えています。これらの数字が示す通り、日本はNetflixにとって不可欠な市場です。私たちは次の10年も、日本の文化とクリエイティビティを世界へ届け、想像を超えるエンターテインメント体験を生み出していきます。

坂本和隆(Netflixコンテンツ部門バイスプレジデント)コメント

この10年、数え切れない挑戦を重ねてこられたのは、ファンの皆様、クリエイター、そしてパートナーの皆様のおかげです。私たちは、たとえ題材が難しくても確かなビジョンを信じるからこそ、オーセンティックな作品を届けられると考えています。これが私たちの大切にしている「クリエイティブファースト」です。さらに、日本のクリエイターと真正面から向き合い、日本の視聴者に愛される物語を生み出すこと。その挑戦がやがて世界へと羽ばたいていく、その信念こそが「ローカルファースト」です。そして今、私たちは次なる挑戦としてライブ配信に踏み出します。アメリカに次いで、初めてライブ配信を行うと発表した国が日本です。ワールドベースボールクラシックの熱狂をリアルタイムで共有し、これまでにない体験をお届けしていきます。

(コミックナタリー)
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