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「藤本タツキ 17-26」公開初日舞台挨拶に7人の監督が集結「全作品が濃い内容」

2025/10/17 22:03

藤本タツキ原作によるアニメ「藤本タツキ 17-26」の公開初日舞台挨拶が、本日10月17日に東京・新宿バルト9で開催され、長屋誠志郎監督、木村延景監督、武内宣之監督、安藤尚也監督、渡邉徹明監督、寺澤和晃監督、本間修監督が登壇した。

藤本が17歳から26歳までに描いた短編8作品が、6つのスタジオと7人の監督によりアニメ化された「藤本タツキ 17-26」。11月8日からのPrime Video独占配信に先がけて、本日より2週間限定で劇場上映されている。7人の監督が一堂に会したこの舞台挨拶では制作の裏話などが語られた。

「庭には二羽ニワトリがいた。」を手がけた長屋監督は、「公開初日にこのイベントに来られている方々はコアな藤本作品ファンだと思うので、楽しみな反面、ちょっとドキドキしています」と挨拶。公開中の藤本原作による劇場版「チェンソーマン レゼ篇」では、デンジとマキマが映画館に行くシーンの原画を担当したとMCから紹介されると、観客から大きな拍手が贈られた。「佐々木くんが銃弾止めた」の木村監督は、7人の監督が起用された今回の制作体制に関連して「アニメーションは本来たくさんの人が関わって作られるので、1人の人間がすべてをコントロールするのは難しいんですね」と切り出し、「でも今回は作品の隅々にまで手が届いたので、全作品が濃い内容になっていると思います。僕もいち観客として他の方の作品を楽しみました」とコメントする。

安藤監督は「シカク」がほかの監督の作品に影響を受けないように「なるべく情報を入れずに作っていた」と話し、「最近になってやっと皆さんの作品を観たんですが……感心するばかりでした」と驚いていた。ここでMCが安藤監督へ特に印象に残った作品はあるかと質問。すると安藤監督は、寺澤監督による「目が覚めたら女の子になっていた病」を挙げ、「この作品はいいですよ……! もちろん全作品よかったんですが、すごくよかったです」と賞賛する。この言葉を受けて寺澤監督は、はにかみながら「本当に光栄です、ありがとうございます(笑)」と応え、「制作当時は新しい表現に挑戦したいという欲求が強かったのでよかったです。僕もいちファンとして皆さんの作品を楽しみにしています」と返す。また寺澤監督は劇中で流れるある音楽を新録したとのことで、「僕はただただハッピーでした(笑)。アーティスト名は言えませんが、誰もが知っている方だと思います。ああいう朗らかな世界観を久しぶりに味わってほしいです」とアピールした。

担当した「人魚ラプソディ」の作画枚数が1万枚を超えたとMCから紹介された渡邉監督は、「制作からお金を使いすぎだと怒られました」と告白。「例えばTVシリーズは3000枚から5000枚で作れると言われますが、『人魚ラプソディ』は海中でピアノを弾いているだけで枚数が増えていきまして。いろんなところに謝りながら作りました」と続けると、観客席からは笑い声が漏れる。またもう1つの監督作品「予言のナユタ」について、「『人魚ラプソディ』とは対照的な作品だったので、別の人間が作ったのかなと思われるぐらい違うアプローチを意識して作りました」と語った。

「妹の姉」を手がけた本間監督は、「『ルックバック』もちょうど制作中だと聞いたので、これは大変だ」と、少なくないプレッシャーを感じたと吐露。そうした状況の中で迎えた制作では、「第二原画は使わず、原画のリテイクが2、30枚しか出ないぐらい丁寧な作り方をしました」とこだわりを明かす。さらに「『妹の姉』の原作は目の表情に特徴があって、キャラクターが何を見ているのかがすごく繊細に表現されています。それは藤本先生の作家性でもあり、こだわりなのかなと感じるのですが、『妹の姉』は特にそこが強く出ている気がして、制作においても意識しました」と述べた。

そうした原作のこだわりついては武内監督も気にしていたようで、「『恋は盲目』の原作は、従来のマンガにおける表情の変化や姿勢に縛りを設けて藤本先生が描かれていたのではないかと。具体的なことを1つ挙げると、ほとんどの場面で眉毛の角度が同じなんです」と、自身の解釈を披露。「10代の藤本先生がそのような縛りを作って描いていたのだと想像して、それをそのままフィルムにしなければと思いました」とコメントした。また「恋は盲目」の制作には若いスタッフが多く携わっていたと言い、「若い力で作られた作品ですので、どうぞよろしくお願いします」と呼びかけた。

※2025/10/18 0:10追記:記事初出時、武内宣之監督の写真に誤ったキャプションを記載しておりました。お詫びして訂正いたします。

「藤本タツキ 17-26」

2025年10月17日(金)より2週間限定で劇場上映
2025年11月8日(土)よりPrime Videoで世界独占配信

「庭には二羽ニワトリがいた。」

スタッフ

監督・脚本:長屋誠志郎
キャラクターデザイン:もああん
制作:ZEXCS

キャスト

小野賢章、桜井しおん、浦和希、斉藤貴美子、岩田光央

「佐々木くんが銃弾止めた」

スタッフ

監督:木村延景
脚本:内海照子
キャラクターデザイン:小薗菜穂
制作:ラパントラック

キャスト

熊谷俊輝、安済知佳、岡野陽一

「恋は盲目」

スタッフ

監督:武内宣之
脚本:内海照子
キャラクターデザイン:もりともこ
制作:ラパントラック

キャスト

堀江瞬、若山詩音、森川智之、山本高広、諏訪部順一、能登麻美子

「シカク」

スタッフ

監督・脚本:安藤尚也
キャラクターデザイン:MYOUN
制作:GRAPH77

キャスト

花澤香菜、杉田智和

「人魚ラプソディ」

スタッフ

監督:渡邉徹明
脚本:小林達夫
キャラクターデザイン:島崎望
制作:100studio

キャスト

菊田千瑛、幸村恵理

「目が覚めたら女の子になっていた病」

スタッフ

監督・脚本:寺澤和晃
キャラクターデザイン:徳岡紘平
制作:スタジオカフカ

キャスト

榊原優希、河瀬茉希、山下誠一郎

「予言のナユタ」

スタッフ

監督・脚本:渡邉徹明
キャラクターデザイン:東島久志
制作:100studio

キャスト

咲々木瞳、松岡洋平

「妹の姉」

スタッフ

監督:本間修
脚本:米内山陽子
キャラクターデザイン:佐川遥
制作:P.A.WORKS

キャスト

中島瑠菜、中井友望、今井朋彦

(コミックナタリー)
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