アニメ映画「トリツカレ男」の公開初日舞台挨拶が本日11月7日に東京・新宿ピカデリーで開催され、佐野晶哉(Aぇ! group)、上白石萌歌、柿澤勇人、山本高広、髙橋渉監督、Awesome City Clubが登壇した。
「まーちゃんにトリツカレた」佐野が祖母から100点のコメントもらう
いしいしんじの同名小説をミュージカルアニメとして映画化した「トリツカレ男」。何かに夢中になるとほかのことが目に入らなくなってしまうことから“トリツカレ男”と呼ばれている青年・ジュゼッペを主人公に、彼が一目惚れした風船売りの少女・ペチカとのラブストーリーが描かれる。冒頭の挨拶ではジュゼッペ役の佐野が「もう映画を観た人」と観客に問いかけると多くの手が挙がる。髙橋監督は今日から暦の上では冬だと前置きし、「どんどん寒くなってくると思うんですけど、心温まる映画ができました。皆さんがぽかぽかに温まって帰ってくださるといいなと思います」と作品をアピールした。
公開までに「トリツカレ男」のさまざまなイベントに登壇してきた佐野。周囲からの反響をMCに聞かれると、大阪で開催された上映会を家族が観に来ていたことを明かす。上映会が行われた映画館の入っているビルで、上映会後にそのまま家族と食事をしたと話し、「『まーちゃんの今まで知らなかったいろんな魅力を知れて、さらにまーちゃんにトリツカレたわよ』という100点のコメントをばあばからもらいました」と祖母との心温まるエピソードを伝えた。
ペチカ役の上白石も、この回の前に行われた舞台挨拶のライブビューイングを観た親から「すごく涙が出た」と連絡があったことをうれしそうに明かす。さらに、温かな日も差した本日の気候に絡め「この作品の温かさが世界に浸透しているんだな。世界が“トリツカレ日和”なんだなと肌で感じています」と笑顔を見せた。シエロ役の柿澤も「甥が早く観たいと言ってくれている」と親族の話題を出し、「特にうれしかった」というその理由を「僕の役者人生で人から愛される、温かい役がほとんどなかったんです」と普段は悪役を演じることが多いことを伝え「シエロみたいな最高にかわいいやつの声を僕が担当させていただいて本当にうれしいです」と改めて出演の喜びを語った。
佐野はシエロの言葉、上白石は四季の描写に注目
作品の注目ポイントの話題では佐野が「ジュゼッペとシエロの関係性」を挙げる。「ほんまにこんな相棒がいてほしい!」とシエロを褒め、「ジュゼッペを救ってくれる言葉をたくさんかけてくれる。シエロの言葉に救われる人もたくさんいると思います。見た目はかわいいハツカネズミですけど、言っていることの説得力、温もりがすごいので一言一言に注目してほしい」と熱っぽく話す。それを聞いた柿澤はジュゼッペについて「こう言ったら申し訳ないけどめんどくさい男」と印象を話しつつ、「それを(シエロが)突き放さない関係性。それが映画でも描かれています。僕もああいう相棒がいたらいいなと思っています」とシエロ視点で2人の関係性に言及した。
上白石は作中の四季の描写に注目。「100分弱の映画の中でちゃんと時間の流れを感じるところが個人的に好きです。どのシーンも画が美しすぎて、額装して飾りたいくらい」と独自の視点で作品の魅力を語った。ツイスト親分役の山本は自身の役を唯一のお笑い担当だと説明し、「そこで笑っていただきたい」とまず1つ注目ポイントを挙げる。さらに自身も劇中歌を歌っていることをアピールすると、上白石から「最高です」、佐野から「めっちゃカッコいいです」と賛辞が贈られると、「もう一回いいですか?」とおかわりを要求して笑わせた。
「耳から涙が」監督が独特の表現で楽曲を称賛
「トリツカレ男」がミュージカルアニメを謳っていることから楽曲にも話題が及ぶ。髙橋渉監督は「ダビングのときには耳から涙が出ました」と、映画完成の際の感動を独特な言葉で表現。佐野もおもわず「目じゃなくて?」とツッコみを入れる。さらに「綿棒を持って、耳から泣きながらみていただければ」と続けると、佐野も「初めて聞いた宣伝文句(笑)」と笑っていた。楽曲を制作したAwesome City Clubのatagiは「曲の持っている根っこの部分を理解されて歌ってくださっているなと思いました」と感じた思いを話す。さらに「『歌って真心が伝わるんだな』と、皆さんの歌を聞いて思ったんです。僕も忘れかけていたものを皆さんに思い出させていただいた。それぞれのキャラクター、特色、パーソナルな部分まですごくよく出た楽曲になりました」とキャスト陣へ感謝を伝えた。
また舞台挨拶ではそんな楽曲に合わせて登壇者と観客が一緒にオリジナルのダンスを踊る場面も。ダンス&ボーカルユニット・TEMPURA KIDZのKARINによる振り付けを佐野の生歌に合わせて踊り、「120点でした!」と佐野が言うほど会場が一体感に包まれた。
「必死になることが無駄じゃなかったと思わせてくれる作品」
最後の挨拶では髙橋監督がアニメはフィクションだから好きだと話し始める。続けて「全部人が考えないと画面に出てこない。その力が大好き。その大好きな気持ちを『トリツカレ男』にぶつけられればいいなと思って作りました。皆さん楽しんでください」と観客に語りかけた。「大人になるに連れてなにかに熱中するとか、ひたむきになるっていうことがなかなかできなくなってくると思うんです」と自身の考えを伝えた上白石は、「この作品を観てなにかに心を注ぐこととか、誰かをひたむきに思うことが素敵だなと思える作品になっています」と改めて「トリツカレ男」の魅力を話した。
佐野は自身の人生を振り返り「楽しかった、ワクワクした瞬間を思い返すと、常に僕がなにかにトリツカレていた時だと思います。アイドルというものにトリツカレて、メンバーと一緒に切磋琢磨してデビューを目指して。去年デビューをさせていただいて、もっと大きな夢を目指して今もがんばっています」と話し始める。また挫けそうなときもあったと明かしつつ「夢中になること、必死になることが無駄じゃなかったと思わせてくれる素敵な作品です。誰かのことを好きになる、なにかに夢中になる瞬間がたくさんあると思います。その感情を大切にしてください」と自身が「トリツカレ男」から受け取ったメッセージを伝え、舞台挨拶を締めくくった。
アニメ映画「トリツカレ男」
公開中
スタッフ
原作:いしいしんじ「トリツカレ男」(新潮文庫刊)
監督:髙橋渉
脚本:三浦直之
キャラクターデザイン:荒川眞嗣
レイアウト:三原三千夫
美術監督:秋山健太郎
色彩設計:広瀬いづみ
撮影監督:関谷能弘
編集:中葉由美子
音響監督:山田陽
音響効果:野崎博樹、小林亜依里
音楽:atagi(Awesome City Club)
劇伴:波立裕矢、未知瑠
音楽プロデューサー:北原京子
アニメーション制作:シンエイ動画
製作:2025映画「トリツカレ男」製作委員会
配給:バンダイナムコフィルムワークス
キャスト
ジュゼッペ:佐野晶哉(Aぇ! group)
ペチカ:上白石萌歌
シエロ:柿澤勇人
ツイスト親分:山本高広
サルサ親分:川田紳司
ペチカの母:水樹奈々
タタン:森川智之
(c)2001 いしいしんじ/新潮社 (c)2025 映画「トリツカレ男」製作委員会
(コミックナタリー)