-
すべてのレビューを見る
遺された記憶
藍川京女史の愛読者のやなぎやこ。本書のトップを飾る氏の「遺された記憶」につきレビューします。亡母の形見の日記にあった想い人を訪ね、北陸に足を向けるヒロイン。そこでの思わぬ出会いから物語は一気に進む。供養のつもりか、母の元カレの足跡を追うヒロインの健気さ、ひたむきさに惹きつけられ、読者はページを捲りながら思わず感情移入して彼女の幸せを願う。ラストもヒロインの将来の幸せにつながることを予想させる終わり方で、すっきりとした読後感。星4つとする。
いいね
0件
もっとみる▼
-
すべてのレビューを見る
京都巡り合い
藍川京作品の愛読者のやなぎやこ。本書に収録の「京都巡り合い」につきレビューします。三十代後半独身美女のラブロマンスで、京都での年下の男との邂逅から営みに至る描写が実に丁寧で、プレイの内容も愛情に溢れるもの。ただ、あえて注文をつけるとすれば、ヒロインの立ち位置が、作品の最初で絡む年上の男を待ついじらしい女と、京都で出会った年下男をリードする女豹と複雑であり、その二面性をもっと深く描き分けられるとなお良かった。とまあ、色々書いてはいますが、他の著者の作品を読んでおらず評価資格なし。ということで、ニュートラルの意味で星3つ。
いいね
0件
もっとみる▼
-
すべてのレビューを見る
今夜は感じすぎるの
藍川京作品愛読者のやなぎやこ、ここでは本アンソロジーに収録されている「今夜は感じすぎるの」についてレビューします。
主人公は過去に短期ながら水商売のバイト経験のある人妻。その当時客として来店していた男との再会を契機にロマンスが展開される。初めての不倫に躊躇いながらも男のリードにより徐々に禁断の領域に足を踏み入れていくストーリー運びの達者ぶりは本作でも健在で、メインの絡みの描写もなかなか工夫が凝らされていて宜しい。道ならぬ関係に揺れ動く女心の記述が丁寧であり、プレイ描写も濃密で、藍川氏の作品で頻出する「ねっとり」と表現される筆致がいかんなく発揮されている。本短編に限れば星4つとしたいところだが、アンソロジー全体の評価となると、各著者の作風も読者の嗜好も広がるためニュートラルとさせていただいた。
いいね
0件
もっとみる▼
-
すべてのレビューを見る
鏡草
藍川京作品の愛読者のやなぎやこ。本書に収録の「鏡草」につきレビューします。主人公は高校を卒業してすぐ結婚した美貌の人妻。京都を舞台に、かつて自分の教師だった男との道ならぬ恋が展開する。結婚後もなお身持ちの悪い夫に見切りをつけ、自分から教師にコンタクトし、宿泊先のホテルまでついていき、誘惑する。プレイ描写も教師の立場を気にして積極的になれない男に、女が猛然と仕掛けていくほどのタフネスを見せる。若いながらも欲望をむき出しにする主人公の性豪ぶりがテンポよく描かれ小気味よい。一方で肛門愛撫はないが、ストーリーの流れや、どこか清純さを残す十代の主人公の性格を勘案すれば、むしろその内容で良いことが一読しておわかりいただけるだろう。特筆すべきは、ほぼ全編を通じて男女のお互いに対する愛情が溢れ、美しく仕上がっていること。とはいえ、他の著者の作品を読んでおらずアンソロジー一冊に対する評価資格なし。ニュートラルの意味で星3つ。
いいね
0件
もっとみる▼
-
すべてのレビューを見る
もっと深く
藍川京作品の愛読者のやなぎやこ。本書に収録の「もっと深く」につきレビューします。寡婦暮らしが長くなった未亡人が性欲を持て余し、ついに過去の男のもとへ。直球過ぎて身も蓋もないようなタイトルから想像したとおりのハードプレイ。でも中身は小道具が出てくるぐらいでノーマルの域。まあ純粋に読んで楽しんで下さいな。とはいえ、本アンソロジー全体に対しては、他の著者の作品を読んでおらず評価資格なし。ニュートラルの意味で星3つ。
いいね
0件
もっとみる▼
-
すべてのレビューを見る
掘り出し物
藍川京作品の愛読者のやなぎやこ。本書のトップを飾る氏の「掘り出し物」につきレビューします。氏の著作の中では意欲作と位置付けれられる短編である。ネタバレ回避のため明かさないが、推理小説家顔負けのエンディングに著者の引き出しの多さを知ることになる。
主人公は質屋を営む中年男。ヘルプのホステスとの一夜の逢瀬が描かれている。変化球は結末だけではない。首尾よく結ばれた相手の女の体には・・・。とにかく意外性盛り沢山の構成にやなぎやこも刮目。但し、である。他の著者の作品を読んでおらずアンソロジーの冊子全体に対しては評価資格なし。ニュートラルの意味で星3つ。
いいね
0件
もっとみる▼
-
すべてのレビューを見る
火の花
藍川京作品の愛読者のやなぎやこ。Vol.1のトップを飾る氏の「火の花」につきレビューする。本作は冒頭より火の花(=彼岸花)の赤が鮮やかに描かれ、読者の視界が紅一色に染まる。と思っていると、ヒロインの父、そして弟子でヒロインと結ばれる男が生業として取り扱う竹が描かれ、一転して清冽な碧緑が作品世界を彩る。話の展開も美しく、ヒロインのやさしい性格が丹念に表現されていることも相まって良品と言えるだろう。そこへもってきて、他の作品でも見られない上述の見事な色どりの対比。一本取られた! と思わず心中うなってしまうほどの計算し尽くされた文章術に、脱帽する逸品。
さて一方、アンソロジー全体の評価であるが、各著者の作風も読者の嗜好も広がるためニュートラルとさせていただいた。
いいね
0件
もっとみる▼
-
すべてのレビューを見る
紐
藍川京作品愛読者のやなぎやこ、ここでは本アンソロジーに収録されている「紐」についてレビューします。
本作は既婚のミドル男女が織りなすロマンスで、舞台ももはや著者の庭先といっていい京都の町。女性の、相手の男の配偶者に対する細やかな心情も描かれ、また性愛小説の核たる絡みの部分にも十分な長さが確保され、手堅い短編に仕上がっている。ただし、作中には、ソフトながらSMプレイも少なからず描かれているが、小道具として題名ともなっている紐の迫力が弱い。紐を使ったプレイがなんとなく浮いているのである。アブノーマルプレイに関心のないやなぎやこ的には不要とさえ思え、倒錯なしでねっとりと書いても十分いけるシチュエーションではなかったかと思える。それでも女性が魅力的に表現され、ファン以外の読者も読んで損はないと思う。そしてアンソロジー全体の評価であるが、各著者の作風も読者の嗜好も広がるためニュートラルとさせていただいた。
いいね
0件
もっとみる▼
-
すべてのレビューを見る
女梅雨
藍川京作品の愛読者のやなぎやこ。本書に収録の「女梅雨」につきレビューします。高齢の書道家の弟子にして不倫相手だったアラフォーヒロインが、師匠の没後、欲求不満でいるところに書家の孫に出会い、物語が展開する。その後の運びは性愛小説お決まりのパターンだが、随所にこれまでの熟女vs年下男との構図にない試みがあり、大いに満足のいく一篇である。ありがちな、年上女性が遊びで相手を誘惑するというものではなく、肉欲と大きな年齢差という現実との狭間で葛藤するヒロインの揺れ動く胸中が詳らかにされ、このスジ展開が徐々に読者の気持ちをかき立てていく。そして、幸せなクライマックスへの一気に繋がっていく展開は、著者の高い文章力、構成力を感じさせてくれる。ただ、他の著者の作品を読んでおらず評価資格なし。ニュートラルの意味で星3つ。
いいね
0件
もっとみる▼
-
すべてのレビューを見る
誘惑の季節
藍川京作品の愛読者のやなぎやこ、本アンソロジー収録の「誘惑の季節」につきレビューする。なお本作は図書(単行本・文庫)のかたちでは他に出版されておらず、雑誌「特選小説 1997年6月号」に掲載されているのみという点でレア作品。ちなみに雑誌では、山本タカトの挿絵がよくマッチしていて秀逸。
脱線したが、主人公は二十代半ばの若妻。世代の近い官能小説家に似ていたため人違いされたことが発端になり、ロマンスへと発展していく。おりしも主人公は夫が仕事が多忙なことから夫婦間の営みがご無沙汰で、性の渇きに直面していたこともあって相手の男の誘いに乗ることに。藍川作品の中では斬新な筋書きで、男女の絡みに至る過程で大いに気分が盛り上げられる。性描写の部分ははわりと短く、その一方で、一戦交えた後の文章が長く続くが、その短所が短所と思えないほど総合点で高評価。
さて、アンソロジー全体の評価であるが、作者や読者層およびその好みまで多岐に亘るため、ニュートラルとする。
いいね
0件
もっとみる▼
-
すべてのレビューを見る
寄り道
藍川京作品の愛読者のやなぎやこ。本書に収録の「寄り道」につきレビューします。京都を訪れた三十路女。元カレを自死で失い最悪感から古都を彷徨う。そこでの偶然の出会いからラブロマンスへと展開。邂逅から戦闘開始までの流れは自然な筆致で、プレイ内容も際立った倒錯シーンがないものの丁寧な描かれ方でじっくり読める。主人公は恋人が自ら命を絶ったことについて自責の念に駆られていたところ、徐々に苦悩から解放されて幸福を味わっていく。ヒロインが精神的に救われていくさまを見て、やなぎやこもほっこりした。これも成仏した恋人の導きか。読者も最後は幸せな気分になる。ではあるが、他の著者の作品を読んでおらずアンソロジーの冊子全体に対する評価資格なし。ということでニュートラルの意味で星3つ。
いいね
0件
もっとみる▼
-
すべてのレビューを見る
閨
藍川京作品の愛読者のやなぎやこ。その十二に収録の「閨」につきレビューします。広い屋敷と体の渇きを持て余した女、それと屋敷の執事兼用人の高齢の男。ヒロインは25歳の社長夫人。夫以外の異性経験がないまま結婚し、そのためか、ウブさを残しつつ結婚生活を送っていた。その夫が長期出張で家を空け、夜間は家政婦も帰宅しヒロインと執事のみ。淋しさのせいかヒロインは就寝できず、執事を自分の寝室に呼び部屋を同じくして眠ろうとするところから事態は発展し・・・。半分ネタばらしになってしまうが、二人はSEχはしない。かわりに執事はヒロインにこれまで経験のない、オナ二ーを教え込んでいく。不意の夫の帰宅を気にする執事の心理描写は少々くどいか。反面、ヒロインのネグリジェからヘアが透けるという記述はグッとそそられる。
とはいえアンソロジー全体に対する評価はといえば、他の著者の作品を読んでおらず資格なし・・・っていうか全二十巻と源氏物語レベルの分量をすべて読破するのはご容赦を。ニュートラルの意味で星3つ。
いいね
0件
もっとみる▼
-
すべてのレビューを見る
記念日の夜
藍川京作品の愛読者のやなぎやこ。本書に収録の「記念日の夜」につきレビューします。結婚時は処女でまったくのウブだった人妻を、歳の離れた夫がだんだんとアブノーマルの世界にいざなう倒錯もの。表題の「記念日」とは主人公夫妻の結婚記念日のコト。その日を契機に初老の夫が、妻のもう一つの処女を奪うことを画策する。物語は二人の馴れ初めから説き起こされ、じわりじわりと清純な妻が夫の提案するプレイを受け入れるまでゆっくりと話が展開され読者を焦らす。倒錯とはいえ内容はソフトで、妻も新しい世界の入口に立つところでエンディングとなり、「変身」し切るところまでは描かれない。未知の世界への扉を開けた妻がこの後どう変わっていくのか気になるところであるが、アンソロジーに対する評価は他の著者の作品を読んでおらず資格なし。ということでニュートラルの意味で星3つ。
いいね
0件
もっとみる▼
-
すべてのレビューを見る
梅雨の花
藍川京女史の愛読者のやなぎやこ。Vol.22のトップを飾る氏の「梅雨の花」につきレビューします。夫が借金している奥さんを、その友人である妻が連れ出して、主人公の初老男が玩ぶ、というストーリー。資金援助のカタに関係を求めた女性をゆっくりゆっくり男が自分のものにしていく過程を楽しむ嗜好が凝らされている。読者諸兄には短気を起こさずじっくりと読み進んで頂きたい。本アンソロジー全体の評価は、作者や読者層およびその好みが多岐に亘るためニュートラルとする。
いいね
0件
もっとみる▼
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-