五年くらい前の話です。
友人と友人の後輩の男の子の3人でドライブに行った時のこと。
隣の県まで行く途中、とあるトンネルに差し掛かりました。
まだお昼で明るいのに、その場所に近づくにつれて、私の体調がおかしくなり、めまいや頭痛を感じ、身体にまるで蜘蛛の巣がまとわりつくような妙な感覚を感じました。
気持ち悪いと思いつつも、せっかくの楽しい時間に水を差すのも…と思い、その時は黙って「これはきっと気のせいだ」と自分に言い聞かせてその事は忘れようと思ったのですが。
楽しく遊んだその帰り道、遊びすぎて時刻はもうすぐ日付が変わるくらいになっていました。
そんな時に、昼に妙な感覚を感じたトンネルを通り過ぎようとした時です。
運転をしてた友人が、突然「触るなよ!」と大きな声を上げたのです。
驚いて友人の方を見ると、友人の肩から手が離れて後ろに下がる所を目撃しました。
私は助手席に座っていたので、後ろにいた後輩君に「セクハラ反対!」とからかいも込めて文句を言えば。
「僕は何もしてません!」と、必死になって弁解してきました。
だけど私は手が引っ込む所を目撃したし、友人も肩を触られたと言うので、友人と二人で男の子を責めてたんですが、その時にふと気付いたのです。
この日は真夏で暑い日で、後輩の男の子が来ていたのは『黒い半袖のTシャツ』だったのですが、私が見た手は『青い手首までの長袖』だったんです。
それに気がついた私は血の気が引くのを感じました。
もしもあの時、運転中だった友人が肩を掴んだ『何者』かに向かって怒鳴らなかったら。
今頃、私達はどうなっていたのか。
それを思うと濡れ衣を着せられた後輩君には申し訳ないけれど、友人が勘違いをしてくれて良かったと心の底から思いました。
それ以来、私はそのトンネルには近づかない様にしています。
ちなみに、そのトンネルは交通量も多い場所なのですが、地元では有名な心霊スポットだと言う事を、後から人伝てに聞きました。
後部座席の手…