亡母の形見の日記にあった想い人を訪ね、北陸に足を向けるヒロイン。そこでの思わぬ出会いから物語は一気に佳境に進むが、短編なのであまり書きすぎるとすぐにネタバレに行きついてしまう。正直言って本作は、地味である。ロマンスの相手との邂逅以外に話の急
展開はなく、淡々とストーリーは進む。ヒロインの智佳にも顔立ちにかかわる表現はなく、美人なのか十人並みの顔なのかにも触れられない。それでも、供養のつもりか、母の元カレの足跡を追う智佳の健気さ、ひたむきさに惹きつけられ、読み進みながら思わず感情移入して彼女の幸せを願う。実際に結末も将来の幸せにつながることを予想させる終わり方で、すっきりとした読後感。星4つとするが、もしかして自分はこの作品の価値をまだ十分に理解できていないのではないかと省みてしまう。これホント名作じゃないのかな。
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