「なぜ、一握りのマネジャーはいとも簡単に部下やチームを動かし、
与えられた目標を達成できるのですか?」
「なぜ、周囲の状況を的確に判断し、正しい選択を行って、
チームとして成果を出し続けるマネジャーがいるのですか?」
「どうしたら、優れたマネジャーになれますか?」
私はビジネス・スクールで、人が人の集団を動かすための知識である「組織マネジメント」を教えていますが、このような質問を学生や企業のビジネスパーソンなどから受けることがよくあります。
そうした質問をする人たちの中には、「自分はマネジャーに向いていないのでは」「自分にはマネジメントの才能がないのでは」と思い悩んでいる人が多くいます。
彼らの多くは、優れたマネジャーはたぐいまれなる人間的魅力を持っている、あるいは圧倒的な実務の専門能力を有していると思っているふしがあります。
しかし、それは行き過ぎた考えです。たしかにそうした能力も大いに役立ちますが、優れたマネジャーになるための必須要素ではありません。
優れたマネジャーは、「マネジメントに最も大切なたった1つのこと」を実践しているのです。ところが、世の中にマネジャーと呼ばれる人は山ほどいますが、その多くが、1つの「最も大切なこと」を実践できていないのです。
読者の皆様がマネジャーとして成功し、自らのキャリアを切り拓いていくために、ぜひこの本でご紹介するマネジャーの「最も大切な仕事」――「配る」マネジメントを実践してみてください。