「人妻」というタイトルから連想するのは、配偶者がありながら道ならぬ恋に落ち、身も心も放下して官能の地獄に落ちる、あるいは夫のいる女性を力づくで慰みものにする、という筋書きだが、本作はそのどちらでもなく、いやどちらかといえば後者に近いが、とに
かく表題と内容がリンクしていない。主人公の女性が夫に対する不義理を悔やむ場面は皆無といってよく、男たちに玩ばれる描写の合間に夫婦間の交渉の少なさを嘆く回想のみで、主人公の内面の葛藤がないだけストーリー展開に深みを欠いている。また主人公が味わうプレイの中身はSM・同性愛といった倒錯もののオンパレード。しかも単調な繰り返し。そして終盤に向けてレ〇プだの剃毛だの残り少ないスペースに無理やり詰め込んでいる感あり。後半は読んでいて疲れてしまった。佳作ぞろいの藍川作品だけに余計に不完全燃焼の読後感が際立つ。
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