冒頭の、京都には大きな川が無かったので、自死方法が身投げ以外になって…という考察が面白かった。着眼点のユニークさと、ブラックユーモア。
後半は小説体になり、オチは読めなくもないです。あくまで軽妙な語り口なのに、登場人物の心情を想像してみるとしみじみ暗い気持ちになる、というギャップは面白かったです。
でも「自死が最後の逃げ道の人から、その道すら奪うのは残酷」というテーマは、私にとってはあまり説得的ではなかったです。この小説の設定だと、割と人々が安易に自死という方法を選ぶようなので、自死を試みたことによって、初めて「あいつそんなに悩んでたのか」と気付いてもらえた人が、周囲に慰められたり配慮してもらえたりして、悩みが解消していき、自死の理由がなくなるという可能性だってあるんじゃないかと…。