「俺は……遊びで誰かに触れたいとも……抱きたいとも思わない!」
古書店の娘・笹峰史子は眼鏡がコンプレックス。おしゃれを楽しむことができず自信の持てない史子を、夏祭りで出会った『眼鏡のイケメン』が変えてくれた。甘いささやきで、女としての魅力を称えられ、情熱的に愛された夏祭りの夜。互いに名乗ることなく、ゆきずりのたった一夜の出来事だったが、史子にとって大切な思い出であり、恋心とともに胸の奥にそっとしまわれていた。
二度と出会うことはないかもしれない――そう思っていた1年後の秋。古本屋の仕事で元華族の屋敷を訪れた史子は『眼鏡のイケメン』に再会する。けれど玖珂家の『執事』梓崎征也は、再会に胸を高鳴らせる史子と違い、氷のような瞳で見下ろしていて……。
夏祭りの夜はまぼろしだったの……!?