条件に合う人がそうそうタイミング良く現れる訳ではない。けれど、その苦しい時に丁度居合わせて、なにくれとなく事情も知った上での冷静な結婚。当然のように結婚前に各々色々合ったわけだが、互いにそれとなく知るところであって。未整理の状況と感情が、次
第に落ち着きを深めるも、ヒロインには特別だった初恋は最後まで大きな存在。彼ニコラス視点で婚約から急旋回の作戦が決行されたとき、そのとき両人共が傷つかない形を彼がとっていたにせよ、私には彼も(つまり作者も)ずるいと感じた。
ここでクラリサ嬢は役目上悪者になっている(否意図せざるキューピッド役)。
簡潔で、予断を排する一文一文が、他の解釈をさせずに表してくるから、メインキャラ二人が、現状に、確信も強い肯定感もない状況で淡々と日々を積み重ねていく。
家の為にと苦しい「夫探し」彷徨、そこには状況に流されてしまうだけなのか、と読み手にジレを感じさせ、なおかつ、この、ニコラスよきっとあなたしか居ないわけね、とも感じさせるストーリー進行。
それまでのイヤイヤ結婚の為に探してきた候補達とは比べ物にならぬハイスペックぶりが、なんともわざとらしくハーレクインっぽい。
けれど互いの、相手の心に住む(であろうとの想像含む)別の人への感情描写が、読ませる。私は、嫉妬のシーンが結構苦手なことが多いし、このストーリーも再三書かれている猜疑心には面倒臭く感じる。
それでも、しっかり描写で話を巧みに色づけ。
運命に流されるかのように金銭的目的の結婚に踏み出そうとする、立場上の弱者みたいなヒロインセアラが、後半か弱き女の子の為に立ち上がる動きが、私には人物描写的に不満。
次の犠牲者を生ませぬ、との怒りは大いに出してはいるものの。
彼の愛人におびえる図ともしっくりしづらい。
その行動力とも。男の子のように活発に幼馴染みと過ごしたとの叙述とは通じるが、悪徳求婚者との前半が、後半の対峙と繋ぎが悪く思えるのだ。
2作セットで読んだが、既読記録でレビュー記す。
もっとみる▼