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本書は江戸時代に歴代名人が将軍に詰将棋100題を献上した「献上図式」を、現代の名人・谷川浩司九段が解説する「図式全集シリーズ」の記念すべき第1弾となります。
「献上図式」は一世名人・初代大橋宗桂による『力草』(ちからぐさ)からはじまり、八世名人・九代大橋宗桂による『舞玉』(ぶぎょく)まで合計12あり、いずれも現代の目で見ても素晴らしい詰将棋となっています。
その中でも特にレベルが高く、詰将棋界で聖典とされているのが七世名人・三代伊藤宗看による『将棋無双』と贈名人・伊藤看寿による『将棋図巧』。本書はそのうちの『将棋無双』を解説するものです。シリーズ第1弾を飾るにふさわしい作品といえます。
圧倒的な読みの力に裏打ちされた力強い捨て駒の連発や、当時類作の少なかった打ち歩詰め打開の技法、馬鋸や竜追いなど、現代詰将棋のベースともいえるテクニックが非常に高い完成度で表現されています。
「献上図式」の中でも特に難解作が多いことでも知られる『将棋無双』ですが、今回谷川浩司九段の手によって、大変丁寧に解説されています。詰将棋ファン垂涎の一冊であることは間違いありませんが、一般の将棋ファンにとっても十分楽しめる内容になっています。
江戸時代に詰将棋のレベルを飛躍的に高めた神品。
伊藤宗看という傑出した天才が我々に遺してくれた名篇をご堪能ください。