◆待望の一冊!
廃園から楽園へ。
(正岡豊)
のほほんと、くっきりと、あらわれ続ける言葉の彼方。
今ここをくすぐる、花の遊び。
読んでいる私を忘れてしまうのは、
シャボン玉のように繰り出される愉快のせいだ。
(鴇田智哉)
◆収録作品より
あたたかなたぶららさなり雨のふる
ミモザちる千年人間のなきがらへ
日々といふかーさびあんか風の羽化
うららかを捧げもつ手の手ぶらかな
さらばとは聞かで消えたるのどかさの
春てぶくろにおぼつかなくも棲む海か
きのふより少し古風な木に出会ふ
鳴る胸に触れたら雲雀なのでした
ひきはがす東風とペーパーヒコーキを
朧夜がなにもない巣を抱いてゐる