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経済問題のうちで、財政政策の問題は華々しい脚光を浴びている問題ではなく、むしろ専門家、より正確には専門官僚にその全権が委ねられ、素人が口を出してはならない問題であるかのように考えられてきた。
(中略)ここでは一つだけ次のような事情を指摘するにとどめたい。それは財政問題をとり扱う学問として、財政学が経済学において占める位置についてである。従来財政学は経済学において独自な地位を保ってきた。すなわち、伝統的には財政学は、経済学とは独立した、ある場合には経済学に優越する学問として考えられてきた。日本の財政学が大きな影響を受けたドイツ流財政学(Finanze Wissenschaft)は、まさにこのような立場に立っていたのである。財政学がこのような立場にある限り、財政問題が経済問題のうちで特別の取扱いを受けるのは当然である。 しかし、今日において、このような財政学に対する考え方が受け入れがたいものであることは明白である。財政学は、経済理論の一応用分野であることにはかわりがない。(「Ⅰ 財政政策 第1章 政策不在の日本財政 1 はじめに」)
目次
I 財政政策
第1章 政策不在の日本財政――昭和三十年代の財政政策――
1 はじめに/2 経済政策の評価の仕方/3 財政政策の目標/4 安定政策としてみた財政政策/5 経済成長と財政政策/6 公共的必要の充足/7 財政政策を支配した規律/8 今後の財政政策の課題
第2章 七〇年代財政の課題は何か
1 予算編成のプロセス/2 背後にある官僚制/3 七〇年代の経済政策と財政
第3章 税制改正への長期的視点
1 間接税移行の試み/2 所得税中心の建前と現実/3 税制改正二つの方向
Ⅱ 金融政策
第4章 昭和三十年代の金融政策―― 一つの評価――(詳細略)
第5章 国際収支の調整と金融政策――開放体制下の金融政策――
1 はじめに/2 対外均衡と国内均衡の達成/3 「国際収支規範」――新しいゲームのルール?/4 日本の場合/5 伸縮的為替相場
第6章 財政金融政策の役割と円切上げ(詳細略)
第6章 付論 〝円切上げ〟の一側面
第7章 国債管理政策と金融政策(詳細略)
Ⅲ 産業・公共政策
第8章 産業政策批判――経済政策論の立場から――(詳細略)
第9章 公共経済学の課題(詳細略)
第10章 シビル・ミニマムの政治経済学(詳細略)
Ⅳ 政策転換への構図
第11章 福祉優先経済への構図(詳細略)
第12章 政策転換のためのポリシー・ミックス(詳細略)