このレビューはネタバレを含みます▼
9代目の竜王フェイワンと龍聖の話を軸に、過去の竜王やその後の子孫たちの話に展開していきます。
フェイワンは両親のこともありますが、魂精がないと生きていけず、その魂精を与えることのできる唯一の龍聖を待ちながらという苦労の人です。しかも、竜が過去に人間とおこした戦により、神より罰をうけて、竜王が一心にいろんな制約をうけるのですが。
初代のホンロンワンはその始まりで、違う世界にまでわたり大和の守屋龍聖と契約を結ぶ。もとが竜だっただけに、人として暮らすことへの疑問や考え方も違い、そこから歴代の龍聖も一緒にエルマーン王国を発展させ、自分たちの子孫たちが困らないように政策を考えていきます。どの時代の竜王も龍聖も魅力的で、みんなで国を作り上げている感じがあります。
日本も激動の時代がある明治維新とかそのときなどに、龍聖の18歳になったらという儀式が微妙になってきたり、考え方自体がかわったり、その制約を正確に伝える寺がなくなるなか、なんとかエルマーンにくるけど、生贄として戻ってきたものがいないだけに、受け入れる側にも混乱がおきたりして、とにかく波乱があります。
しかし、どの竜王も無理強いはしないし、対話を重んじていて、どの龍聖にも優しく思いやりと愛情をささげるところが素晴らしい。みんな幸せな気持ちがあるなかで、夫婦として、親として成長していくところもよく、1冊1冊があっという間です。
個人的にはフェイワンの時代も好きですが、2代目竜王ルイワンの時代の敵国の侵略のところが印象的でした。
まだ、竜だったときの老シーフォンたちが残っていて、あの世でホンロンワンに怒られても禁忌をおかし、戦うといって、自分の命をかえりみないガンシャンたちの生きざまが素敵でした。そして、その犠牲をはらわないと国として存続できなかったこともありつつ、優しいルイワンが悲しみにくれるところがぐっときました。過去の竜王やシーフォン、アルピンの行いや犠牲によって、未来へ続いていエルマーン王国。ぜひとも、興味あるのなら読んでほしいシリーズものです。