「触知性」が拓く感覚の未来
身体を通して情報に接するとき、
情報あふれる現代社会をいきるための
知恵が生まれる
心臓の鼓動に触れて生命の意味を理解する「心臓ピクニック」、
オノマトペの触り心地を可視化する「触相図」など、
独創的なプロジェクトから見えてくる、触覚と情報との関係とは。
身体に深く根ざした感覚〈触覚〉と情報を結びつける力を「触知性」と名づけ、
情報に対する感受性のあり方を探る。
文庫化にあたり、補章「触覚情報学による『わたしたち』のウェルビーイング」を追加した。
第69回毎日出版文化賞〈自然科学部門〉受賞作。
●本文より
身体に根差した主体的な体験でありながら、
それが他者にも伝わる普遍性をもつためにはどのようにすればよいのか。
そんなとき、触覚という感覚は、記号化されたものを身体的に感じる、
記号を受肉させる感覚といえ、そして、触覚から記号を生み出すことは、
身体に根差しつつも他者と共有できる知恵を新しく生み出す営みであると考えられます。
これから私たちに必要なのは、触覚と情報の関係性の探求とその実践の体系であるといえます。
●目次
序章 触知性
第1章 触覚と情報
第2章 触れて情報を理解する
第3章 触れて現れる情報、触れて残る情報
第4章 触覚の語彙、語彙としての触覚
第5章 触覚の文法
終章 情報社会をいきるための感覚のリテラシー
補章 触覚情報学による「わたしたち」のウェルビーイング