日本橋芸者や幇間が行き来する檜物町。その一角にある一膳めし屋丸九の女将・お高と亭主の作太郎が住む家に、夏の夜更け、女が訪ねてきた。双鷗画塾で学んでいるという女・お桑は、作太郎に師事したい、教授料は丸九で働いて払うと言い張る。困惑するお高をよそに、作太郎は双鷗からも頼まれたと言って引き受けてしまう。一方、丸九でお運びをするお近は、店に出入りする若い芸者衆と親しくなったことで、なにが幸せか、考えるようになり――。ぷりぷりのかさごの煮付け、うなぎもどきのかば焼き、冷やし白玉の梅蜜がけ……いつも賑やかな丸九に波乱の予感!? 大人気時代小説新シリーズ、第2作。