沖縄の日本復帰から50年を経て、沖縄の視点から日本史の本質的な理解につながる研究が進展し、あるべき沖縄の関係性がつむぎ直されるようになってきた。本書は、史料的にも散逸・焼失もあって平坦ではなかった沖縄の歴史研究の軌跡をたどりながら、一地域史に留まらない視座を提示し、展望をひらく。
【主要目次】
まえがき(古波藏契)
第Ⅰ部 復帰の歴史を考える
第1章 沖縄返還にみる占領特権の制度化(吉本秀子)
第2章 東アジア冷戦と沖縄(成田千尋)
第3章 医療衛生から再考する沖縄米軍占領(増渕あさ子)
第4章 軍事資本主義の生政治に抗う「反開発」闘争(上原こずえ)
第5章 日常のなかの冷戦(古波藏契)
第Ⅱ部 復帰と琉球沖縄史研究の変容
第6章 沖縄の近世・近代転換期をめぐる研究史(前田勇樹)
第7章 徳川帝国のなかの琉球――従属と自律の相剋(豊見山和行)
第8章 〈南洋群島〉という植民地空間の生成(森亜紀子)
第9章 戦後沖縄における資料収集・編纂と近年のデジタルアーカイブの取り組み(山田浩世/小野百合子)
あとがき(佐々木真)