近代国家は統治対象の土地や人間に関する各種情報をいかにして収集し、社会の状況を見えるようにするためにどのようなことを行うのか。日本統治時代の植民地当局による台湾原住民に対する可視化の展開について検証し、その現地社会への影響を明らかにする。
【主要目次】
はじめに
第1部 台湾原住民社会の可視化
第1章 近代国家による統治と可視化
第2章 「蕃地」の可視化と地図、公的書類
第3章 もう一つの可視化と原住民の生業構造の改変という施策
補論1 視覚的秩序と可視化
補論2 可視化が何をもたらすのか:「保留地」の土地測量・土地登記が引き起こした変化
第2部 身分登録と臣民統合
第4章 身分登録の二面性と身分の多元性
第5章 臣民統合と資源の流用
第6章 身分登録書類の記載項目としての「姓名」:原住民の人名が登記されること
補論3 戦後「山地」監視体制と国家にとっての安全
おわりに
付録 「可視化」「可視性」という日本語についてのノート