昭和50年代前半、東京近郊のある精神病院で看護助手をしていた「僕」は院長から患者たちの演劇サークルの世話役を務めるよう頼まれる。「僕」は元アングラ劇団員。自分の才能の無さを痛感し、芝居を断念した過去がある。仕方なく演劇サークルの世話をするようになったが、次第に患者のひたむきさに惹かれ、街の劇場で芝居を公演したいという彼らの夢の実現に向けて動き始める。劇団は「青い舟」と名付けられ、その年の暮れ、街の劇場で公演を打つことになる。
【主な目次】
プロローグ
第一章 僕はカンゴニン
第二章 アリスを捜せ
第三章 「青い舟」の行き先
第四章 科白が覚えられない……
第五章 アリスを解き放つ
第六章 僕らのマッドパーティー
第七章 どこかに帰りたい……
第八章 狂っているのは君だ!
第九章 百万本のバラ
第十章 それは敵前逃亡だ
エピローグ
あとがき