「――私をこんなに愚か者にさせるのは、この世でお前だけだ」持参金目当ての夫とその愛人に毒殺された令嬢・アイリーン。死の瞬間、彼女が抱いたのはただ一つ、後見人・イアンに再び会いたいという切実な願いだった。目を覚ますと、時は結婚前の十八歳に巻き戻っていた。イアンは名門公爵家の当主で、元軍人の「救国の英雄」。アイリーンとは20歳も年が離れ、まるで父親のような存在。叶うはずもない初恋を胸に、今度こそイアンに想いを伝える彼女だが、彼の反応は戸惑いと迷いを感じさせる。だがその裏で、イアンは自らの気持ちを深く隠していた。未来を有する彼女を、一時の気の迷いや欲情で乱してはならない――「ずっと愛し続けてきた。前の人生から……」イアンの積年の想い、そして死に戻りの秘密とは?