先端科学のラボラトリーで、社会政策の「実証実験」で、そしてアートの前衛で、人は「実験」の名のもとに、いったい何をしているのだろうか。リービッヒの研究室から、鎌倉の交通実験、ケージの「4分33秒」まで、STSの最新成果をもとに、「実験」という思想/実践の多様な生態系を、科学・社会・芸術の3つの領域を横断して探索する。
【主要目次】
始めに
第1章 科学実験
序
Ⅰ STSにおける実験とラボ
Ⅱ 実験/ラボラトリー概念の系譜学
Ⅲ 近代的ラボの原型
Ⅳ 実験とスケールの問題―ビッグ・サイエンスとその周辺
Ⅴ 実験と非線型性
Ⅵ ラボとフィールドの間
結語
第2章 社会実験
序
Ⅰ メタファーとしての実験
Ⅱ 政策における実験
Ⅲ 中間考察
Ⅳ 参加と研究の間で―交通系社会実験
Ⅴ 小回りに実験する―建築系社会実験
Ⅵ ラボ、社会に出る―(都市)リビングラボ
結語
第3章 芸術実験
序
Ⅰ 実験音楽の世界
Ⅱ 偶然のもう一つの相貌―デュシャン、ゾラ、パタフィジック
Ⅲ 中間考察
Ⅳ 科学・芸術・STS
Ⅴ 芸術的研究(AR)というハイプ
総括
第4章 STSと実験再考
Ⅰ 残された論点
Ⅱ 理論と実験
Ⅲ 学習の実験的領域再考