ブラックホールが宇宙で最も奇妙で最も魅力的な天体であるのは周知のこと。にもかかわらず、オックスフォードの天体物理学者・ベッキー博士にいわせれば、あなたがブラックホールについて知っていることはほぼすべて間違っている。それは、どういうことか――?
ブラックホールは本当は「黒」ではない。「深い穴」というよりむしろ山。「掃除機のように吸い込む」のではなくソファーのようなもの。事象の地平線の彼方では未来は時間ではなく空間の方向に広がる。私たちは星のカケラというより超新星のウンコである……。
本書では、まさにブラックホール研究の最先端に身を置く天体物理学者であり、サイエンスコミュニケーターとしてYouTubeで大人気の著者が、ブラックホールと宇宙研究の歴史から最新の学識までをわかりやすくユーモアたっぷりに解説する。
「長らくブラックホールは銀河の暗黒の心臓部とみなされていたのに、じつはまったく「ブラック」ではないことがわかった。むしろ、宇宙全体で最も明るい天体であることが研究で明らかになっているのである。」(「はじめに」より)
■内容
序文 野村泰紀 プロローグ 巨人の肩の上に立つ
1章 星はなぜ光る?
2章 生き急いで早く死ぬ
3章 あなたのもとへたどり着けないほどの高い山はある
4章 なぜブラックホールは「ブラック」なのか
5章 小さじ1杯の中性子で恒星が崩壊する!
6章 どう頑張っても脱けだせない
7章 ブラックホールは「ブラック」じゃない?
8章 2が1になるとき
9章 ご近所の親切なブラックホール
10章 超大質量な私
11章 ブラックホールは吸いこまない
12章 古い銀河はいま電話に出られません。だって死んでしまったから
13章 明日が来るのは止められない
14章 ブラックホールはどこまで大きくなれるのか
15章 命を終えるものすべてがいつかは戻る
エピローグ 万物の終わりに