国際法を無視してウクライナへの全面侵攻を始めたロシア。
兵士の大動員を行い、西側諸国から経済制裁を受けるも、国民はプーチン大統領を支持し続ける。
地方政府や大企業、メディアを意のままに動かし、選挙や政党まで操作する絶大な権力をプーチンはいかに獲得したのか。
ソ連崩壊からの歴史を繙き、統治機構、選挙、中央と地方の関係、治安機関、経済、市民社会の6つの観点から権威主義体制の内幕に迫る。
■ 目 次 ■
はじめに
第1章 混乱から強権的統治へ――ペレストロイカ以降の歴史
1 ペレストロイカとソ連解体、混乱のエリツィン時代へ 1985~99年
2 プーチンの大統領就任、タンデム支配へ 2000~12年
3 プーチン再登板からウクライナ戦争へ 2012~24年
4 本書の視角
第2章 大統領・連邦議会・首相――準大統領制の制度的基盤
1 ソ連時代の遺産と準大統領制の成立
2 エリツィン時代の対立からプーチン時代の支配の確立へ
3 大統領の任期とプーチンの後継者問題
第3章 政党と選挙――政党制の支配と選挙操作
1 エリツィン体制下の支配政党の不在
2 統一ロシアと政党制の支配
3 バラエティ豊かな選挙操作
第4章 中央地方関係――広大な多民族国家の統治
1 強力な地方エリートと非対称な連邦制
2 プーチンの登場と垂直的権力の強化
3 2010年代の展開と地方への押し付け
第5章 法執行機関――独裁を可能にする力の源泉
1 プーチン体制を支えるシロヴィキたち
2 権威主義的な法律主義
3 市民の生活と法執行機関
第6章 政治と経済――資源依存の経済と国家
1 オリガルヒの誕生と政治への介入
2 集権的ネットワークの確立
3 ロシアの市民と経済
第7章 市民社会とメディア――市民を体制に取り込む技術
1 ロシア市民の政治観
2 市民社会の抑圧と抱き込み
3 メディアの支配とプロパガンダ
終 章 プーチン権威主義体制を内側から見る
あとがき
主要参考文献