《宇宙がまだ今日ほど乱れていなかった頃、すべての星はきちんと並んでいたので、左から右に、または、上から下に容易に数えられたし、大きめで青い星々は別個にひとかたまりになり、小さめで黄ばんだ星々は二級天体として隅っこに追いやられ、宇宙空間にはいかなる埃も塵も星雲ごみも見当たらなかった、そんな古き良き時代、〈永久全能免許状〉を持つ建造師たちが時折旅に出ては、遠く離れた人々に親切な忠告や助けをもたらすのが通例であった》
かくて全能のロボット建造師トルルルとクラパウツィウスのふたり組は、中世の騎士のごとく広大無辺の宇宙を隅から隅まで旅し、行く先々で権力に貪欲な惑星の王たちや、暗黒に住まう未知の怪物からつきつけられるとんでもない難題の数々にぶち当たる羽目に。──そんなふたりの奇想天外、奇妙奇天烈、抱腹絶倒の冒険を、諧謔と風刺、機智とユーモア、パロディに言語遊戯、文体実験や文明論的批評などを交えて寓話風に描いた愉快な連作短篇集。
邦訳版『宇宙創世記ロボットの旅』には未収録だった作品を精選増補し、新訳および本邦初訳でお届けする決定版。