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「第二の漱石」とも称された、日本における医者兼作家の先駆者が描いた、傑作25作品を収録。正木不如丘は、医者兼作家。竹久夢二、堀辰雄、横溝正史らが入院した、日本初の高原サナトリウム=富士見高原療養所の初代院長を勤めた人物で、文筆もこなし、大正末から昭和前半にかけて、文芸誌から大衆娯楽誌、大手新聞まで様々な媒体に作品を発表、「第二の漱石」と囁かれたことさえあった。さらに、徳冨蘆花の主治医を務め、最期も看取った。本巻には、1922年~1927年頃にかけて新聞や雑誌に掲載された25作品を収録。随筆と小説がメインだが、その境目が見分けにくい作品もあり、読み進めるうちに徐々に虚実が曖昧になってゆくような構成にもなっている。前半は、臍の手術にまつわる患者の訴えを題材にした喜劇「臍の悲」をはじめ、「すつぽんの血」、「腹中のコレラ菌」、「誤診物語」、「王手飛車取り」など、病院や患者にまつわるエピソードを披露する、不如丘が開拓した〝医者物〟と呼ばれるジャンルで、医療現場の悲喜交々を面白おかしく紹介している。中盤~後半にかけては、作者の経験談と同一視しがたい、医業を中心テーマとしない小説や、叙情的な哀感を漂わせる作品が並ぶ。山間の因習と神秘を材にとった「神代櫻」は、どこか泉鏡花を思わせる民俗的世界観に何とも要約しがたい物語の余情を漂わせ、老医師と老馬の絆を中心に懐旧的な風景を映す「靑」など、割り切れない人情や世相を情緒豊かに描き出す筆致には、作家としての幅の広さを感じさせられる。発刊当時の旧字体総ルビに加えて、より読みやすくした新字体バージョンも新たに追加収録している。解説文は日本のユーモア文学研究者、追手門学院大学准教授・佐藤貴之。付録には、発刊当時の外箱や表紙など、当時の貴重な資料を収録する。
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