歴史学の課題がどこにあるのかを根本的な問いに立ちかえってとらえ直されている現在。本書は、一国の近代史のなかに位置づけられてきた近代歴史学に向きあい、グローバルヒストリーという大きな枠組みのなかに置き直すことによって、史学史研究の可能性、そしてこれからの歴史学を模索する。
【主要目次】
序 章 グローバルヒストリーのなかの近代歴史学(小澤 実・佐藤雄基)
第Ⅰ部 越境するヒストリオグラフィー
第1章 明治期日本における「史料」概念の変遷(松沢裕作:慶應義塾大学経済学部教授)
第2章 近代日本における「東洋史」学の成立――「東洋史」の始まりと市村瓚次郎(奈須恵子:立教大学文学部教授)
第Ⅱ部 比較するヒストリオグラフィー
第3章 比較封建制論における日本――朝河貫一を結節点とした見取り図の一例(佐藤雄基)
第4章 「離れた比較史」の可能性――日欧中世比較封建制後の方法と課題(佐藤公美:京都大学大学院人間・環境学研究科)
第Ⅲ部 グローバリゼーションのなかの歴史家たち①日本
第5章 辻善之助の仏教史と博愛――グローバル化のなかの日本近代歴史学の一断面(金澤周作:京都大学大学院文学研究科教授)
第6章 近代法制史学史のなかの穂積陳重(神野 潔:東京理科大学教養教育研究院教授)
第7章 平泉澄と西洋学知――「皇国史観」以前の平泉中世論再考(小澤 実)
第Ⅳ部 グローバリゼーションのなかの歴史家たち②世界
第8章 法制官僚が歴史を書くとき――イブラヒム・ハックと近代オスマン史学史(藤波伸嘉:津田塾大学学芸学部教授)
第9章 スヴェン・ヘディンと中国――西北科学考査団を中心に(吉澤誠一郎:東京大学大学院人文社会系研究科教授)
第10章 揺れ動く「イスラーム・スペイン」――南のブラス・インファンテと北のサンチェス・アルボルノス(黒田祐我:神奈川大学外国語学部教授)
グローバルヒストリーのなかの近代歴史学(1巻配信中)