ナチズムの映像表象、権力の身体性、男性結社のエロス、建築と政体の関係を鋭く分析し、政治的暴力が美化され、エロティックなものにさえなる情動の論理を探究する表象文化論の極北を、その後の著者の研究を概観し、展望する論考を増補し、装いも新たに復刊する。
《書物復権2025》
【主要目次】
序
I 一九七〇年代のナチ・テロル・ロック――時代論
序 「ファシズムの美学」再考――スーザン・ソンタグ「魅惑するファシズム」
第1章 キッチュな黙示録――ハンス・ユルゲン・ジーバーベルク『ヒトラー、ドイツからの映画』
第2章 白い恐怖、赤い亡霊――クラウス・テーヴェライト『男たちの妄想』と一九七〇年代ドイツ
第3章 自殺するロックンロール――デヴィッド・ボウイにおけるロック・イデオロギー
II 権力の身体――政体論
序 権力の三つの身体――聖体から革命の身体へ
第1章 ギリシア幻想の身体――ヨハン・ヨアヒム・ヴィンケルマンと古代の模倣
第2章 レヴィヤタン解剖――イメージ・表象・身体
第3章 子午線のデザイン――カール・シュミット『大地のノモス』
第4章 「英霊」の政治神学――橋川文三と「半存在」の原理
III 男たちの秘密――結社論
序 男性結社のエロス――三島由紀夫と結社論の諸問題
第1章 主権の秘密――オットー・ヘフラー『ゲルマン人の祭祀秘密結社』とその周辺
第2章 戦士の到来――社会学研究会とジョルジュ・デュメジル
第3章 亡命者たちの山――日本における男性結社論の系譜
IV 建築と政体――表象論
序 建築空間の政治学――ミース、アールト、ル・コルビュジエ
第1章 近代というナルシス――ル・コルビュジエの遡行的問い
第2章 小国民の建築――アルヴァ・アールトの「小さな人間」
第3章 ファシズムの表象――ジュゼッペ・テラーニの倒錯的合理主義
第4章 「どうしようもないもの」との葛藤――堀口捨己における日本・近代・建築
エピローグ
註
跋
補 章 「政治的感性術」の分裂生成に向けて
増補新装版 跋
附録/年表/書誌・フィルモグラフィ・ディスコグラフィ/図版一覧/人名索引/事項索引
政治の美学 増補新装版(1巻配信中)