「ほかの女を愛していると告げたその口で、私を抱きたいと言うがいいわよ」
レティ・ヴィヴィアン公爵令嬢はアルス王太子の婚約者である。
この国ではすべての人間が魔法を使うことができるが、レティは魔法が使えないと嘘をついていた。
なぜなら、レティの魔法は『性欲増強』『媚薬付与』『感度倍化』という、いやらしい魔法だからだ……!
レティが貴族学園に入学すると、アルスから「光の大精霊の加護をもつという女性と結婚をするから」と、手紙一つで婚約破棄されてしまう。
たしかに、冷たそうな美貌のレティは口数が少ないせいか性格が悪いと思われているし、さらには豊満な胸をもつ妖艶な体つきのせいか男好きだと勘違いされている。だからといって、レティが悪いことをしたわけではないのに、あまりに勝手ではないか。
ーー性欲を大爆発させて、自分が捨てた私の足元に跪くがいい!
怒ったレティは、隠していた自身の「いやらしくなる」魔法をどうにかアルスにかけようと奔走した。思惑通り、魔法にかかり、欲情したアルスはレティを激しく求める。
ほかの女性を好きなアルスが自分を欲しがる様子に、優越感に浸るレティだが、魔法を使っていない時もどこかアルスの様子がおかしいのだ。
それに、ほかの人にも……。こんなはずじゃなかったのにーー。
『特殊魔法は蜜の味~婚約破棄してきた王太子がなぜか執着してきます~(3)』には「第二章 シャウラ・エルナト なんとなく勢いでエロティックマジックをかけられる王子様」(後半)~「第三章 ユエル・アルファム 割と確信犯的にエロティックマジックをかけられる王子様」(前半)までを収録