『最強のアルツハイマー病予防法』
「アルツハイマー病は、発症してからでは遅い」。この厳しい現実を前に、私たちは何ができるのか――。
本書は、現役医師である著者・森吉臣氏が、自身の医療現場での経験と最新の研究成果をもとに、誰もが今日から実践できるアルツハイマー病の予防法を体系的にまとめた一冊です。
アルツハイマー病とは、記憶や判断力が徐々に奪われていき、最終的には自分の名前すらわからなくなる、極めて重篤な病です。しかも、その進行を止める確実な治療法は今なお存在していません。しかし著者は、「それでもこの病気は、予防できる」と語ります。
本書の冒頭で示されるのは、「アルツハイマー病にまつわる二つの誤解」。一つは「命にかかわる病気ではない」という認識、もう一つは「防ぐことができない運命のような病気」という考え方です。近年の研究では、日本ではすでにアルツハイマー病が死因の第1位であることが明らかになっており、しかも発症の10年~20年前から「未病」と呼ばれる予兆段階が存在するといわれています。この“発症前”の段階こそが、予防と対策の最大のチャンスなのです。
アルツハイマー病はなぜ発症するのか? 本書では「脳の炎症」と「腸の炎症(リーキーガット)」の関係性に注目し、病気の原因に根本からアプローチする重要性を説いています。著者は、腸内環境の悪化や腸壁の炎症が静かに脳に波及し、長い年月をかけて認知機能を蝕んでいく過程を詳しく解説。そのうえで、「脳だけを診る」のではなく、「体全体の炎症リスク」を捉えることが、真の予防に直結すると強調しています。
さらに本書では、著者自身が受けた各種検査と治療の体験を赤裸々に記録。血液検査や遺伝子検査、VR認知機能検査、腸内フローラや食品アレルギーの評価、さらには脳の“漏れ”に対する最新治療まで、最前線の予防医療の具体的な手法を、豊富な図表や解説とともに紹介します。
認知症への不安を抱える中高年はもちろん、ご家族に認知症を患う方がいる方、さらには医療関係者にとっても、非常に有用な一冊となるでしょう。医師としての使命感と、患者への誠実なまなざしに裏打ちされた本書は、「知っているか、知らないか」で未来が変わることを教えてくれます。
「何も起きていない今」が最も重要なタイミング。予防の第一歩は、この本を読むことから始まります。