◆「地頭の良い人がうらやましい」
「地頭」という言葉は、皆さんも日常的によく使うと思います。
しかし、「地頭とは具体的に何なのか?」と聞かれると、
答えに窮する方も多いのではないでしょうか。
地頭の定義が曖昧なままでは、
「地頭をどうやって鍛えるのか?」「どうすれば地頭が良くなるのか?」はわかりません。
◆地頭は5つの要素に分解できる
本書では、著者アップル氏が戦略コンサルティングの実務の中で発見した、
地頭を構成する5つの要素とそれぞれの鍛え方を解説します。
高さ:物事を高い視座から俯瞰的、大局的に捉える力
広さ:視野を広くとり、対象を漏れなく、ダブりなく、隈なく分析・整理する力
深さ:物事の本質を捉え、メカニズムを構造的に読み解く力
新しさ:既存の知識や情報を新結合し、新たな着想やアイデアを生み出す力
速さ:インプット、プロセッシング、アウトプットのサイクルを瞬発力高く、高速に回す力
これら、地頭はIQ(知能指数)とは異なりますし、学歴(偏差値)で測れるものでもありません。
もっともっと広い概念です。
この5つの要素を、時と場合に応じて複合的に使いこなし、
成果を出している人が、「地頭の良い人」となるのです。
◆戦略コンサルは5つの地頭要素をどのように使っているか?
著者アップル氏が所属していた戦略ファームでは、新規採用の際に「ケース面接」を実施し、
候補者の地頭を複数の要素に分解して評価していたそうです。
ケース面接とは、「市場規模の推計」や「ある会社の成長戦略の提案」などの
ビジネスの問題を面接中に即興で出し、その問題に対する答えの導き方で、地頭の良し悪しをチェックするというものです。
戦略コンサルティングでは、高い視座からクライアントの経営課題を洞察し(高さ)
問題解決を広い視野で抜け漏れなく行ない(広さ)、かつ深く掘り下げながら遂行し(深さ)
独創的な戦略や打ち手の導出(新しさ)が必要とされます。
そのため、採用面接でも地頭を分解して多面的に評価するのです。
◆本書の特徴(類書との違い)
本書には類書にはない、次の3つの特徴があります。
第一に、地頭という漠然とした概念を、
「高さ・広さ・深さ・新しさ・速さ」の5つの要素でシンプルに構造化している点です。
第二に、「実践」を重視している点です。実践で使えない地頭理論は、ビジネスの現場では役に立ちません。
明日からでも実践できる内容となっています。
第三に、生成AIの活用です。これからの時代、自分の脳だけでなく、生成AIを道具として使いこなし、
自分の力をレバレッジすることが不可欠です。
、本書では「地頭=脳」という従来の捉え方を、「地頭=脳+AI」へと再定義しています。
◆本書で解説する5つの地頭要素とそれぞれの鍛え方を1つ1つ実践を通じて強化することで、
総合力としての問題設定力、問題解決力、創造力が飛躍的に向上します。その結果、仕事で成果を出しやすく
なり、キャリアアップにもつながります。
「地頭を鍛え、成長したい」と考えるビジネスパーソンの方におすすめの1冊です。