未来を照らす、明治の愛と魂の物語
2025年秋スタートのNHK連続テレビ小説「ばけばけ」のヒロイン、小泉セツ。本作は、文豪ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の妻として、そして何よりも一人の凛とした女性として、激動の明治を生き抜いた彼女の感動の生涯を、温かな筆致で描き出す物語です。単なる「文豪の妻」という言葉では語り尽くせない、セツ自身の豊かな内面と、その波乱に満ちた人生の真実に迫ります。
「語り部」セツと、ハーン文学への灯火
武家の娘として生まれながらも、時代の荒波に翻弄され、数々の困難に見舞われたセツ。しかし彼女は、持ち前の聡明さと不屈の精神で運命を切り拓き、やがて異国の文学者ハーンと出会います。言葉も文化も違う二人が、互いの魂に深く惹かれ合い、愛を育んでいく姿は胸を打ちます。特に、セツが幼い頃から親しんだ日本の古い物語や怪談をハーンに語り聞かせ、それが『怪談』をはじめとする不朽の名作群を生み出す源泉となったエピソードは必読。彼女こそが、ハーン文学に日本の魂を吹き込んだ、真の「語り部」だったのです。
困難な時代を生きる私たちへ、勇気と希望をくれる物語
夫亡き後も、その遺志を継ぎ、子供たちを育て上げ、そして自らの言葉で『思ひ出の記』を遺したセツ。彼女の生き様は、どんな困難な状況にあっても希望を失わず、誠実に、そして愛情深く生きることの大切さを、現代に生きる私たちに静かに、しかし力強く教えてくれます。本書を通して、小泉セツという女性が灯した、時代を超えて輝き続ける「心の光」に触れてみませんか。読後、きっと温かな感動と明日を生きる勇気が湧いてくるはずです。