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とりて来し 白ききのこを見てあれば なみだながるる 寄宿のゆうべ“日本を代表するきのこ文学者”宮沢賢治の短歌・詩・小説・童話を集成!『泉鏡花きのこ文学集成』に続く、「きのこ文学」シリーズ第二弾!その魅力を説く「編者解説 きのこ文学者としての宮沢賢治」付! 楢夫(ならお)は夕方、裏の大きな栗の木の下に行きました。其(そ)の幹の、丁度(ちょうど)楢夫の目位高い所に、白いきのこが三つできていました。まん中のは大きく、両がわの二つはずっと小さく、そして少し低いのでした。 楢夫は、じっとそれを眺めて、ひとりごとを言いました。「ははあ、これがさるのこしかけだ。けれどもこいつへ腰をかけるようなやつなら、ずいぶん小さな猿だ。そして、まん中にかけるのがきっと小猿の大将で、両わきにかけるのは、ただの兵隊にちがいない。いくら小猿の大将が威張(いば)ったって、僕のにぎりこぶしの位もないのだ。どんな顔をしているか、一ぺん見てやりたいもんだ」 そしたら、きのこの上に、ひょっこり三疋(さんびき)の小猿があらわれて腰掛けました。(「さるのこしかけ」より)【内容目次】短歌四首詩:何をやっても間に合わない/休息/おい けとばすな/スタンレー探検隊に対する二人のコンゴー土人の演説/秘境/林と思想小説・童話 さるのこしかけ/三人兄弟の医者と北守将軍/あけがた/車/ビジテリアン大祭/税務署長の冒険(抄録)/谷/二人の役人/どんぐりと山猫/狼森と笊森、盗森/鹿踊りのはじまり/土神ときつね/朝に就ての童話的構図編者解説 きのこ文学者としての宮沢賢治 飯沢耕太郎【著者プロフィール】宮沢 賢治 (ミヤザワ ケンジ) (著)1896年岩手県花巻生まれ。盛岡高等農林学校(現岩手大学農学部)卒業。1921年から花巻農学校で教諭を務める。1926年に退職し、羅須地人協会を設立、農業技術指導などを行なうが、1928年に過労で倒れ、以後は療養生活を続けながら執筆活動を行なう。1933年9月21日没。享年37。生前に刊行された単著は、詩集『春と修羅』(1924)、童話集『注文の多い料理店』(1924)のみであったが、1934~35年には文圃堂から全3巻の全集が、1939~44年には十字屋書店から全6巻+別巻1の全集が刊行された。戦後も筑摩書房から数次にわたって全集が刊行されている。飯沢 耕太郎 (イイザワ コウタロウ) (編)1954年生まれ。写真評論家、きのこ文学研究家。きのこ関連の著書に、『世界のキノコ切手』(プチグラパブリッシング、2007)、『きのこ文学大全』(平凡社新書、2008)、『マジカル・ミステリアス・マッシュルーム・ツアー』(東京キララ社、2010)、『きのこのチカラ きのこ的生き方のすすめ』(マガジンハウス、2011)、『フングス・マギクス 精選きのこ文学渉猟』(東洋書林、2012)など、編書に、『きのこ文学名作選』(港の人、2010)、『きのこ文学ワンダーランド』(共著、DU BOOKS、2013)、『世界のかわいいきのこデザイン』(共著、DU BOOKS、2016)、『きのこ漫画名作選』(Pヴァイン、2016)、『泉鏡花きのこ文学集成』(作品社、2024)など、監修に、玉木えみ『少女系きのこ図鑑』(DU BOOKS、2013)、玉木えみ『増殖・少女系きのこ図鑑』(DU BOOKS、2015)などがある。
9784867931172
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