強い線が人物をよくも悪くも目立たせ、好みの別れる筆致で双子のそれぞれを両方描いていることにより、不思議なまとまりが表れている。
家庭内の事件が、相互に進行中の恋愛の問題への横槍となって、次の扉を叩く。
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誘拐が絡んでおり、しかも、犯人は不問に付される点で共通している。今年の話題の映画のように、出生の秘密のミステリーの他に、育ての親がきちんと子育てして、立派な大人に成長しているからこそのドラマもある。双子のほうのこちらのストーリーは、セットになって制作されている二組の話が、それもまるで双子のように、対を成す。
「愛を知ったバルセロナ」のほうが、弾む会話を二人が楽しむシーンがあった点で、両者の比較でいうならば、より面白味も感じた。
ただ、ベッドシーンが、予想通り何度かあるために、開く場を選ぶか、休日用。
それも展開の前後のシチュエーションに意外性は乏しいため、そのシーンの比率が悪目立ちするため、よほど美しくため息のでる、幸福感一杯描写でないと、ただの、エッチシーンで終わってしまう。
正面顔横顔が同一人物に見えない事があった。私は柔らかい線の方が好みだが、こういうタッチも、野性味や感情的な場面では迫ってくるものがある。手足などのバランスがより一貫性があればもっと良かった。左右の脚が同じに見えるなど、荒さが大雑把に見えてしまうと、タッチの濃さが逆効果となってしまう。
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