あってはならないようなおふざけ企画に独断でゴーサインした弟王子のキューピッドぶりが、初めから最後まで矢を貫き通して可笑しい。かわいいし、王子らしくなく、その辺の若者そのもの。ずっこける所があるがコメディに貢献。
国王は対照的に堅物とい
う設定。女の子と付き合ったことがない的な、オクテ。見た目はモテそうなので、この話は彼がアメリカ人に知られていないことになっている。ヒロインはアメリカ人で、王国でないアメリカ人の王室への憧れをくすぐりたくてテレビ局が企画の成果を見せる同行取材。彼女は、期間限定2週間「アメリカ人のプリンセス」となり、芸能人的立ち位置に立たされそうになる。
岸田先生が描かれる人物は男女とも大人の外見していて、その整った目鼻立ちを眺めていると、美男美女同士にして、国王(束の間)プリンセス間の、慎重な恋愛の軌跡が歪みの少ない放物線であるとわかる。
但し、128頁の彼ミシェルはまるで、借りて来たサイズの合わない貸衣裳を着せられたみたい。
それを言ったら93頁のひとこま目のシャノンは、いくら遠目とはいえ、着飾った宴の絵としては顔の絵の省略をやり過ぎていて、より残念
表紙の二人の絵と、扉絵の二人の絵の雰囲気が違うのも、気になるといえば気になるところ。
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