こんなにいい子をしっかり見出だすなんて、HQならでは。こういう人柄が出来た女性で、望みながら非婚で40代50代に突入した人を何人も知っている。人は、男性は、外見にとらわれ易い。中身が大事と一般的な理屈はわかっているのに。逆に見た目可愛いのに
意地悪で残酷な人に参っちゃってる男性も、何度も見ている。不条理が世の常と言ったらそれまでだが。
このストーリーは、結婚に漕ぎ着けるまで彼の押しが絵に描いたように(まさに!)正攻法で、彼女を踏み切らせるのに悪い材料を出してこない。只一点、ヒロインが男性との接触を避ける、という、その行動に関する引っ掛かりを残して。よくある、彼はヒロインをどう思っているか疑惑は、結婚に至るまでの行動で持ちにくい。
ヒロインの秘密を知ったときは、既に彼は彼女の素晴らしさを結婚前以上に十分知った後、というタイミング。こういう流れは、二人に文句は言わせないとの、作り手の読み手に対する現実感覚(出会いの可能性とか、知っても乗り越えられるか、とか)による疑念喚起の隙を与えたくない意図を感じる。
人柄が良すぎて、あちこちで人がヒロインを気に入るさまがまた、彼女の高い品格を物語る。彼自身が、随所で彼女のいいところをいくつも目にして喜んでいる。
こういうストーリーは、少女漫画かHQ位にしか存在しないと思われる。
だからこそ私は読みに来るのだが。このヒロインに幸せになる権利は当然ある。HQでは、ヒロインのロマンスの相手役を張る男性は、ちゃんと、このような慎ましやかな女性を見つける。
ヒロインに訪れた極上の幸せを見て嬉しくなって読み終えるのだ。
頭に来るけど、ヒロインを二次的に突き落とした口さがない男、そんな奴居そうなのが、なんとも。。。
話そのものは取り立てて物凄いものはない。
彼が誠実で自分勝手さがなく、人品骨柄卑しからずのルックスは、彼の中身と調和が取れている、という人物像で、立木先生の造形は嫌みがない。
ヒロインの気持ちの清らかさ、純粋さ、人間としての在り方の柔らかさなどなど、ヒロインの絵にもその飾らないキャラは感じる。
進行は他愛もなかったが、気持ちの良い一冊だ。
物足りない人は居るかもしれない。
管理人が呼び出す古い共同電話に驚かされる。ロンドンの賃借住宅の通信環境は不明だが、電話の形状から見ても、時代設定が最低でも50年近く前、1960年代位?、ということになるのか。
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