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表題作5話+短篇3作。
美大出身の作者さんだそうで、デザイン性の高い絵柄がめちゃ好み。ストーリーも、ただ優しいだけではない、苦しみ悲しみの鮮烈さがあって、ザックザクに刺さりました。表題作と『愛の焦土』が特に好きですが、全
篇星5つ。
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表題作は、かの有名なライカ犬の「その後」の話。スプートニク2号に乗せられ、世界で初めて地球の周回軌道に達した生物。初めからの片道切符、忠実な犬を利用してなんてひどいことをするのだろうと幼少期から思っていて、そんなことをする人間の端くれである自分が辛かった。
復讐を誓い、人間を滅ぼそうと地球を目指すライカ、いいぞもっとやれ。
憎しみと復讐だけの物語だったらどんなに良かったろう。けれどもライカは人を慕う健気な優しい犬で、それがとても哀しい。
・『さようなララバイ』みんなずっと一緒にいられるように、と不老不死の人面犬になろうとするトモコ。死の恐怖に気付いた子供時代、一度は不老不死に憧れるよね〜。人面犬の暮らしを教えてもらいに行って、いろんな妖怪と楽しそうに過ごすトモコちゃんが可愛い。
・『愛の焦土』ゴッホとテオをベースにしたお話。地球を侵略した宇宙人の子供の兄弟、兄と仲良く一緒に居たい弟の一方通行がかわいそう。
・『海底着陸』犬のアームストロングと飼い主の少年マナブくんの、ショート連作5話。海と宇宙のイメージのリンクがきれい。
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