言いたい事を言い合える仲でも、大切なことを伝えてくれない寂しさ。
ヒロインも彼に伝えるまで時間がかかってはいるのだが。
彼の家族、ヒロインの家族、友達や仕事、ストーリーが見せてくれた広がりが決して散漫ではないのは、まとめ方のうまさと
思う。人物の描き分けも明解で、島ののんびり感と、メイン二人のぶつかりがピタリはまりこんで、二人の関係のつかず離れつの、周囲の人間を巻き込んでの展開は飽きさせなかった。
突っ張ったり、少し盛り上がったりの二人が、ラストでやっと表した本音のシーンは、ストーリー途中の二人のうねりをまるごと飲み込んで、なかなかクライマックスとしてインパクトがあった。
この邦題タイトルは、中身と合わない。原題の語感からいっても、(徐々に)妻になった、みたいな印象だった。
次に読んだのも、もとジャーナリストで戦場で傷を負った男性が出てくる話、「涙の婚約指輪」。
こちらは明るいが、あちらは大変さを全面に出して来ていて、対照的。
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