生命力を削って人を治癒することができるセイシアは、継母の仕打ちに耐え切れずに屋敷を飛び出す。そしてとある村で治療師となるが、治療所の前で倒れていた男がどうにも怪しい。社交界で「リダイン家の淫乱な令嬢」という悪質なうわさに苦しめられたセイシアは、貴族と思われるその男を遠ざけようとするが…。「人前で戯れるのがお好きだそうですが…一度だけ、くだらない遊びをしませんか?僕と…ね?」品行方正で優しい男が、帝国で最も結婚したいと言われている彼が、どんどん近づいてくる。カルティア大公はセイシアの手をそっと握り、優しく微笑む。「僕の妻になってくれませんか?」そして指先に軽くキスをした──。