アントニウスがクレオパトラへの愛を自覚するまで。
あの夜の口説き文句を覚えているのは当事者だけ。
仮面舞踏会の多いHQでも、この作品ではひとときの夢として相当なロマンチックさだった。
身内の死、親の重い病、婚約者の裏切り、このヒロ
インの境遇の重さから、親思いの娘として、ただ親の喜ぶ顔が見たいなどというレベルを越えた、親の生きる力を与えたいと願う、娘の心のさすらいとして描かれる
ヒロインが気を奮い立たせてバーに行く場面は胸が痛かった。
彼の愛に対する距離感の変化が後半もっと解るようにしてくれると良かったように思う。愛を求めてもかなわなかった彼の境遇が、ヒロインとの関わりを通して新展開するドラマの方がドラマチックと思う。
読後感として、ヒロインもだが、彼が、何よりも、彼こそが、幸せを見つけてよかったと思うからだ。
前半のコミカルなコマが、両人の明るくない材料を軽減させている。
それと、私の気に入ってる点は他に、二人とも仕事もキッチリしているのと、ヒロインからキッチリ告白させていること。ハーレクインは、自分がというより、相手に愛してると言ってもらうことに重きを置いているのが多いので。男性のステータスばかりというのもなんとなく飽きるので。
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