なんという執着心。怖いくらいの執念。弟を出し抜く、これは愛の狂気なのか。
他の人には代えられない、その人でなければならない、恋愛の本質というか、自分のものになるまでそこまで頑張るか、という圧倒される彼の本気。
そして、この作品、砂漠を見
せようと、マノンレスコー意識?もちらつかないわけではないが、観念的にシークだとか、権力や富、エキゾチズムといった定番メニューでなく、厳しさを描写しているところがよい。簡単に考えていない、生半可でない彼女の終盤の覚悟が、どれぼどのものかを、作品で読者は、ヒロインと共に認識を高めていく。浮わついた憧れとかで済ましていなくてよい。
彼の手回しが余りに拉致紛いで、読んでるこちらは思わず気持ちは引くが、ヒロインが最初から好きだったと、ヒロインの気持ちをこう言い訳に使われては、こちらがどうこうという幕ではない。
HQのアラブものには、厳しい戒律や女性であることの不自由さが少しも描かれず、相当世俗的すぎて、嘘臭すぎて、いくら夢設定でも現実無視の強さが鼻について、私は余りこのジャンルを好まないのだが、この作品は、フィクションのなかに地域的なこと、例えば気候・宗教・習慣・・浮わついていない重いところを描いた中で、隊商の登場も別の意味でエキゾチック。
引き込まれました。
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