引き裂かれてそれっきりになった若い恋人同士、彼女のお腹には赤ちゃん。HQに限らずとも古今東西悲恋の代表的なパターン。HQでは、別れた男女がまた会う。取り返しのつかないような別離であろうと、まだやり直しの効く結末を迎え、一つ一つの悲恋をハピエ
ン転換してくれる一種リベンジ恋愛を展開してくれる。
このストーリーも傷つき憎みそれでも片時も忘れたことはない、そんな二人と、その二人の愛の証の存在の、HQあるあるパターン。しかも、ストーリーにはそれは変、というアラもある。
頑張って生きてきて、やりたかったことを努力で掴み取った今がある。
引き裂かれてもずっと好きだった人と、いい形ではなかった再会でも、ずっと会いたいと想い続けた人に出会えた。相手が会いたかったよだなんて言ってくれなくても、その反対のハードなご挨拶であっても、これでかなり、悲恋要素一杯だったストーリーの前提に別の空気が入ってきた。
貧しかったけれど幸せ一杯だったあの頃には知り得なかった相手の幼少期の事情も、この再会がもたらした情報。
二度に渡って涙を流すリコは、感情が豊か。それ故に騙されたと思って傷つき、怒り、憎しみをヒロインに返した。そして、それでもヒロインのことを愛し続けていた。二人は心の奥で求め合っていた。
こどものことをなにも考えていない彼の祖父と部下、そんな血は要らない、とばかりに。母子もろとも邪険にされたという、ありがちな話なので形は一見オーソドックスなのだが、ずっと好きで居続けたヒロインの愛の勝利。純粋な愛にかなうものはない。
二人を悲しい破局へと追いやった張本人、自称弁護士の犯罪行為と、そんな仕打ちを命じた彼リコの祖父のむごいやり方が、真実が明るみになって糾弾されるシーンがなかったのが、読者的に悔しさ残る。
引き裂かれた愛のリベンジのほうが叶ったのだから、過去は過去のこととしてもういいじゃないか、とは、割りきれない。
もう取り戻せないものを思うにつけ、登場人物たちに代わって残念で残念でならないのだ。
まさに、「帰らざる日々」だから。。。しみるタイトルです。
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