若き日の過ち。多くはそれを笑って過ごすだろうが、彼らは違った。ヤスミンは地獄にも似た生を選び、カリーフはその生を捨てた。全てはカリーフの使用人マルワンの策略によって。全てに折り合いをつけて先の人生へ前向きになったところで、皮肉にも二人の再会
。氷結した想いが一気に溶け流れる。そうなっては、いくら道理を説く言葉をお互いに挙げ連ねても全く意味を持たない。お互いの目線は絡み合い、吐息は耳に轟き、声は体を縛り付ける。そういったやり取りが延々と続く。テンションは低く暗い。まるで地響きのように唸るような展開だ。湿度が高くHQとは思えない展開。華やかな作画でないことがこの物語の原作に忠実であるかどうかは読んでいないので分からないが、独特な光をもって存在を固執していると思う。悲しみにあふれていて辛すぎるヤスミンの人生にカリーフを責めたくなるが、「若い」という何も持たない者の苦悩もまた悲しいのである。好みではないが心が杭打ちされてしまって、忘れられない物語の一つとなった。
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