十代で家出して一人で頑張ったヒロインにとって、自分を愛してくれていた家族が苦しんだということ、深刻な余波を与えてしまったということ、それは離れていたがために想像もしてこなかった現実だった。ヒロインも自分のとった行動を自分で受け止めてきたから
こその日々、でも、親は、怒っているとか、勘当とかとは異なるレベルにいた。
同じアパート住人の彼は終わらない自分の戦後のほかに、過去の自分の行動にも苦しんで自分というものを肯定できない。自分みたいな人間は人の一生に関わるような重大な事には深入りなどする資格がないと。
この2巻目で、二人それぞれの問題が動き出す。
ヒロインの方は手荒な解決で、私的には、ヒロイン母子のこの恐怖がどうか一日も早く脳裡から消えてなくなって、と思う。
彼の心のつかえも、ヒロインとの交流によるヒロインの言葉かけが、また、彼が自分に課したミッションの出口が、数々の自分の行動の集計結果のように押し流されていく。
このストーリー、ヒロインは、彼が自分の問題に首を突っ込んだら、彼がどんな目に遭うのか予想もつかなかったからこそ、詳細を語ってこなかった。ある意味、その警戒心通りに事態は展開し、そして、最後の詰めで、彼が非暴力での、腕力を発揮して、ヒーローをしてくれるのだ。
薬物中毒父親失格男を完全に撤退させた、彼の力が、スーパーマンの役目を果たすかのようにものを言う。
この人でよかったね、と、思える瞬間だ。
もっとみる▼