いい父親になれる人は、ほぼ無条件に好ましいと私は思う。生まれてくる子に寄せる深い感情に、私は胸が熱くなった。素晴らしい。羨ましい。
光崎先生は人物絵に、個性はあるもののインパクトが少し弱い。描線がコシのない猫っ毛のような感じがする。
しかし、他の絵はむしろ主張してくる。はっきりと存在感を持ってどきりとさせられる。表紙などグレコの絵みたいに濃い。
この、人物と人物以外のギャップが不思議。
裸一貫から成り上がった富豪の、仕事に対する取り組みかたも、よくHQは父親として余り関わってない云々というパターンの話が結構あるが、私は彼が創業者にしてバリバリの企業経営者であることが、こどもに対する取り組みも同じように熱意を持つだろうと、話中の姿から期待出来る。
ヒロインも彼も、互いに相手に真面目だ。
弟も父親も少しキャラ付けしてあり、人工受精や突然の再婚などへの、それぞれの反応を出してきて広がりも少し持たせている。
ただし、親友の弁護士夫氏、ありがとう、でもごめんなさい、だ。
しかしそこも、ヒロインの周りの人たちの豊かな精神的サポートが、読んでいて素敵だとは思う。
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