キャッチーなタイトル付けが多くて、ストーリー展開がどこかに有りそうで無い(意外性に富んでて実は読んだことが無い)、ポピュラリティをしょってキュートな絵柄で、すぐ気軽な気持ちで手に取らされる田中メカ先生作品。漫画ってこういうのが肩が凝らなくて
いいんだわ、と、読み終わっても不思議と軽さをコスパ面で嘆く気持ちにならない。
大袈裟な深刻さがないから、毒になるかもしれない様なものさえ毒気を抜かれて描写され、微笑みっぱなしで先生の手書き文字の書き込みにも目を細める。頁をめくる手(スマホだから指か)に羽が生える。
奥深い何かが欲しい人には過小評価されそうだが、どうしてどうしてお話の面白さは私には泉のように思え、5星の評価をする。
軽快で、キャラクター達にかわいいところがあって、先へ先へ読み進めたくなるお話への引き込み力が、いつもどの作品にも備わっている。もうそれは、ババババーンと才能を見せつけてくるよりも、柔らかさにくるまれた輝き、ダイナミックさではなく面白さがいつの間にか奥ゆかしく寄り添ってきているような。潜航艇の如き秘め方で、しかし船体は大きい、といった風に感じる。短編が上手いから、先生の長編は飽きさせないんだと納得する。
「7 月の魔法使い」2006年
「王子様、11月のユウウツ」2006年
「10月の女王と僕」2008年
「午前の森」2002年
「SPECIAL EDITION 3月の恋人たち」2013年か。(本誌掲載でなく単行本化の年として。詳細不明)
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