心情描写がなんてうまいのか、と、何度も唸ってしまう。明るさと切なさ、いい具合に混ざっていて、身内の愛、隣人愛、肝心なことを詰めきれないでいた二人のロマンス。
聞きたい事を聞けない、言いたいことを言えない、つい誤魔化してしまう、踏み込む
のを恐れる、私にも共感できる勇気のなさや確信のなさからくる空回り。登場人物の心情に同化しやすい巧みなコマ提示で、効果的な展開で、涙を誘う。ビジュアルな表現でここまで乗せられると、コミックで読む醍醐味を存分味わえる。
病室に向かうシーンも病室でのシーンも、特別なストーリーなどないのに、いやというほど心に応える凄さ。
荻丸先生は感動の起こし方を本当によくご存知で、漫画化を大成功させていると思う。原作読まない派なので、ただの想像だが。
概してHQコミックは大ハズレが数多く世に出ていて、当たらないよう注意して探して読んでいるが、荻丸先生で「しまった」と思ったことはまだない。むしろ、力量は敬服ものだと思う。
下宿屋のコミュニティは、ピパとジョージィが抜けて空中分解だったのだろうか、そこだけ知りたかった。
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