人の死。自分のしたこと、できなかったことを悔やむこと。巻き戻しのきかない現実。
彼は自分のことをろくでなしと呼び、自分を許すことができない。ヒロインもまた、若気の至りで家出してから家族とは音信不通。
二人それぞれに自分の過去の呪縛によっ
て、この二人の間にあるものに素直になれない。刹那的に求めあう心はあるが、深入りはセーブする。自分が狂わせてしまった周囲。
家族というのは血の繋がりによってのみ、いうものでない。このストーリーは身近にある家族のような繋がりに家族の創造物語が投影される。
ウォーカーが、元官僚で昨今テレビ出演の多い岸氏に顔のラインが似てるようにみえる。どちらに対しても申し訳ないがー。
そのためにHQイメージを取り辛かったが、読み進めるに従い途中の外伝に入る頃、気にならなくなった。
二人が愛を自覚し、愛を育て、自分にかけた鎖をはずしてやる。幾つも二人ははずしていくことになる。
遂に父親だと自負できるまでに関係を結べるようになった、彼と娘の信頼と絆が羨ましい。
外伝中の、「立ち止まらなければ辛い旅は終わる」というところにも感じるものがあるが、正直ほかにストーリーの中に何も読んだ意義を感じ辛い。
1は、128頁の、腕と階段のコマが意味を成さないと思う。家出して戻れなくて、でも妊娠して、ヒロインの過酷な体験が、ヒロインの苦労を偲ばせ、彼との関係の進展を読者として素直に喜べる。言いたい放題の婆さんが小憎らしい。
2は、一転し、出てきた家では、残された家族もまた、かなり苦しんだとわかり、親の立場で眺める気分が混ざってきて、私は、可愛がって育ててくれた家族に対して、ヒロインが元気でやってるくらいの報告もなく生きてきた事に、どこか憤りの感情が沸いてくる。
また、散々煙幕を張ってきたのに、二人は互いを求めるも、即座に彼が一線を引いてきた、というところや、DVの前同居人出現からのヒロインの避けっぷりなど、先に進めない二人の理由と共に、愛を認めながら未解決のものの深さに戸惑う。味方になることを期待できない弁護士にも、怒りと失望を覚えさせられる。
母子は大丈夫なのだろうか、すべて終わっても怖い思いを拭い去れるのか心配してしまう。
しかし、彼の心強い台詞がその不安を忘れさせてくれるだろうとも思うのだ。
「君への興味を無視しようとすればするほど/君を抱きたくなってしまうんだ」。
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